2015 Fiscal Year Annual Research Report
領域交差交換を要とした結び目・絡み目理論の発展と展開
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14J03667
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
橋爪 惠 奈良女子大学, 人間文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 結び目 / 射影図 / グラフ / 領域交差交換 / 複体 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近結び目理論で結び目・絡み目のダイアグラムに対する,領域交差交換と呼ばれる新しいoperationが考案された.本研究は領域交差交換を要として結び目・絡み目理論を発展させるほか,空間グラフや仮想絡み目,グラフ理論との関係を見いだすものである. 今年度の研究計画では次の研究を予定していた。 研究1.領域交差交換は交差の上下の情報を入れかえるが施す図式の形は変えない.そこで,領域交差交換を施す対象を結び目・絡み目からグラフの閉曲面上の射影図へ拡張することで領域交差交換の特性を調べる.更にその考察を利用して,グラフ・空間グラフ・仮想絡み目の研究の展開を図る. 研究2.領域交差交換から導かれる複体として,共通の射影を持つダイアグラム全体からなる集合の元を頂点,各領域での領域交差交換を辺とした複体を考える.この複体の“形”を考えることを新たな視点とし,理論の発展を図る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要に示した研究に対して,具体的には次のような研究を行った. 研究1に対して,領域交差交換を一般のグラフを最小種数の曲面上描いた図式に拡張することを考えた。領域交差交換はダイアグラムの各領域が定めるZ2線形写像と解釈できる。まずは一般の絡み目に対する,この写像のimageとcokernelを調べた。これは次数が4の2次元球面に射影可能なグラフについて考察することと見なせる.この結果に関しては論文にまとめ出版した[H1].更に次数が4のグラフを種数の高い曲面上に射影した図式に対する領域交差交換の振る舞いを上の写像として扱えるように定式化、考察した。小関氏(国立情報学研究所)によってこの線形写像のimageの次元が示された.しかし,その基底は分かっていない.そこでこの基底を調べたがまだ制限付きのグラフに対してのみしか結果が得られていない. 研究2に対して,絡み目のダイアグラムに対して,交差を4価の頂点に入れ替えることで4価のグラフと見なす.このグラフGから1次元単体複体C(G)を次のようにして得る.Gの頂点集合の冪集合の元を0単体に対応させ,2頂点が辺で結ばれる必要十分条件はある領域での領域交差交換でその頂点に対応する頂点集合が移り合うとき,とする.このような複体の直径や最短距離が直径となっている点の数を考察した. [H1] Hashizume M.,On the image and the cokernel of homomorphism induced by region crossing change, JP. Jour. of Geom. and Top.Vol. 18, Num 2, 2015, pp133-162. [Oze] Ozeki K. Region choice game. preprint
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Strategy for Future Research Activity |
研究概要に示した研究に対して,今後は次のような研究を行う. 研究1に対して,グラフの種数が最小となるような閉曲面へ射影した射影図での領域交差交換の振る舞いを領域交差交換から誘導される写像を用いて考察する.まずはグラフの価数を4価に制限して考察し,この線形写像の基本的な結果を示す.(この写像の像や余核について,幾何学的に意味のある結果を示す.) 研究2に対して,この領域交差交換に基づく複体の具体例を多数構成する.さらに,この複体の高次元化を図る.この性質を調べることによりその性質に関する領域交差交換の大域的な理解を得る.また,これらの結果を専門誌への論文出版や国内外の研究集会などで発表する.そして学位論文を執筆し学位を取得する.
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Research Products
(5 results)