2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J03722
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松川 みずき 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | トビイロウンカ / カンボジア / 農薬 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
稲作の盛んなアジア諸国において、イネウンカ類の中でもトビイロウンカは稲の発育や品質に大きな影響を与える重要害虫である。カンボジアおよびベトナム南部を含むメコンデルタ地域では、トビイロウンカが周年発生していることがわかっており、その発生を抑えることが急務である。本研究では、ウンカの発生実態の把握およびその防除体制が確立されていないカンボジアにおいて、カンボジア国内で発生するウンカの発生源の解明、個体群動態の把握、殺虫剤に対する感受性の低下および在来稲品種のウンカ耐性の程度の解明を網羅的に行うことで、効率的な防除体系を確立することを目指す。今年度は、カンボジア国内でのトビイロウンカの発生源を特定するために、国内の主要な稲作地帯においてウンカの採集・DNAの抽出を行い、分子生物学的手法を用いて地域個体群の差の有無を検出する方法を検討した。ウンカのDNA配列内のITS領域に着目し、差の検出を検討したが地域差は見出せなかった。また、ウンカの多発地域において稲作農家が行っている病虫害防除のうち、農薬の使用状況について社会科学的手法を用いた調査を行うことで、その現状を把握した。雨季作において、農薬の中でも主に殺虫剤と植物成長調整剤が使われており、殺虫剤の中ではカーバメイト系が多く使われていた。農家は水田で虫の発生を認識してから殺虫剤を散布する傾向があった。また散布された殺虫剤のうち主要な殺虫成分に対するウンカの感受性試験の方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として、ウンカ多発地域の雨季作における農家の農薬散布状況について日本応用動物昆虫学会の年次大会でポスター発表を行った。現在論文として投稿中であり、書き直しを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はカンボジアにおいてウンカの飼育に問題が発生したことにより十分な個体数を得られなかったため、特に本年度大きな問題となった現地の飼育環境の改善を行い、安定した個体数を確保するためのさらなる工夫を行うとともに、日本へ輸入し実験を行う事も考慮しながら体制を整える必要がある。 地域個体群の相違に関しては、解析方法の検討を進め、学会発表・論文投稿を目指す。
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Research Products
(1 results)