2014 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙高エネルギー粒子生成過程解明に向けたレーザープラズマ実験のための数値的研究
Project/Area Number |
14J03859
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 彩子 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | GRB / 相対論的輻射流体計算 / MHD / レーザープラズマ実験 / モンテカルロ法 / 超新星残骸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はレーザープラズマ実験用のMHDコードおよび相対論的流体場中での輻射輸送計算コードの開発, 検証を行った. 超新星残骸における磁場増幅を調査する目的で行われたレーザープラズマ実験の解析を行うことにより, 開発したMHDコードの検証を行った. 計算結果は実験結果を再現し, コードの妥当性を確認した. 磁場増幅は不均一な密度分布を持つ物質中を衝撃波が通り過ぎる際に生じるRichtmyer-Meshkov不安定性によって物質の界面が引き延ばされ生じると考えられてきたが, 数値解析の結果から, 実験中では主に衝撃波の前面において物質が圧縮される効果で磁場が増幅していることがわかった. 将来的に行う予定のGRBの放射現象を再現できる相対論的輻射流体計算コード開発に向け, モンテカルロ法を用いた相対論的輻射計算手法の検証を行った. ある衝撃波について衝撃波静止系および衝撃波が動く系を準備し, 各々について輻射輸送計算を行い, 各慣性系において計算領域から抜け出た光子をサンプリングしそれらの方向分布およびエネルギースペクトルを計算した. 各系での計算結果を同一の系に変換して比較したところ, 数値計算の時間幅が十分に小さい場合には計算結果がすべて一致した. 僅差で動く衝撃波と光子の動きを十分に解像できるような時間幅を検証したところ, 光子の平均自由行程を十回分割するくらいの時間幅であれば十分であるということがわかった. また流体計算を行う際に避けられない数値拡散の効果が輻射輸送計算に及ぼす影響についても検証を行った. 衝撃波面が不連続的な場合と波面をなまらせた場合とでそれぞれ輻射計算を行い結果を比較したところ, スペクトルの高エネルギー側の形状が大きく異なることがわかった. 波面がなまっている際には流速ジャンプ付近で密度が小さくなり逆コンプトン散乱が起こりにくくなるためである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
相対論的輻射輸送計算コードの開発にあたり, 当初の予想に反し, 輻射輸送計算から得られるスペクトルが計算領域の空間解像度に大きく影響されることが明らかとなった. 研究遂行上, この空間解像度をどの程度に設定すべきか見極めることが必要であり, 必要な解像度を検証する作業を取り入れたために研究の進捗状況がやや遅れることとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は, 本年度中に開発, 検証を行ってきた相対論的輻射輸送計算コードを相対論的流体計算コードとカップリングさせていく予定である. 開発予定のコードは計算負荷の大きな大規模計算コードとなることが予想されるため, 今後はスーパーコンピュータも利用していく予定である.
|
Research Products
(10 results)