2015 Fiscal Year Annual Research Report
ジピロメテンホウ素錯体をビルディングブロックとした特殊構造共役系高分子の創出
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14J03877
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 穂奈美 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ホウ素 / BODIPY / 共役系 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. カルドBODIPYによる共役系高分子構築 フルオレンの9位に芳香族置換基を導入した構造は「カルド構造」と呼ばれるが、ホウ素上に芳香族置換基を導入したBODIPYもカルド構造とみなすことができる。本研究においては、このようなカルド構造BODIPYを共役系主鎖内に組み込むことで、共役系高分子を基盤とした新たな発光性材料の創出を目指した。具体的には、ホウ素上に電子求引性・供与性置換基を持つフェニル基を導入した各種カルドBODIPYを合成した。さらに、それらを主鎖に有する共役系高分子を合成し、光学特性を調査した。得られたポリマーの光学特性は、フェニル基上の置換基によらず、良く似た性質を示した。以上の光学特性の結果から、カルド構造を有するBODIPYおよびそのポリマーの電子状態は、芳香環上の置換基の電子求引性・電子供与性にかかわらず、保存可能であることが示唆された。 2. 近赤外発光色素を指向したヘテロ環置換Aza-BODIPYの合成 BODIPYのメソ位の炭素原子を窒素原子へ変換した骨格はAza-BODIPYと呼ばれており、通常のBODIPYと比較して、長波長領域に吸収・発光を示す。近赤外領域で吸収・発光を示すAza-BODIPY誘導体として、チオフェンを導入したものが報告されているが、硫黄原子の重原子効果の影響で発光量子収率が低い。そこで、近赤外領域における高輝度発光材料の創出を目指し、フランを導入したAza-BODIPYを設計・合成した。合成したフラン置換Aza-BODIPYの吸収スペクトル測定を行ったところ、近赤外領域で吸収・発光を示した。チオフェンを導入したときのような発光量子収率の低下は見られなかったことから、高効率近赤外発光を目指す上で、Aza-BODIPYに導入する置換基として、フランが有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の研究テーマ1については、すでに成果を論文として投稿し、掲載済みである。テーマ2についても、今年度中に論文を執筆し、投稿できる見込みがある。また、どちらのテーマもさらなる発展研究が期待でき、現在着手している。以上のことから、本研究課題は順調に達成されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で挙げた2つのテーマを発展させていく。 1. 電子求引性・供与性置換基を導入したカルドBODIPY共役系高分子により、共役系高分子主鎖は、カルド構造による側鎖に影響を受けないことが示唆された。そこで、カルド芳香族として発光性色素を導入して、共役系主鎖とカルド側鎖からそれぞれ発光を示す多色発光性高分子の創出を目指す。 2. さらなる長波長領域における吸収・発光の発現を目指し、共役拡張のために高分子かを検討している。また、Aza-BODIPYを主鎖に有する共役系高分子が、高い電子移動度を示すことを当研究室から報告している。そのため、本研究テーマであるヘテロ環置換Aza-BODIPYにおいてもキャリア移動度測定を行っていく。
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Research Products
(13 results)