2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J03915
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 航 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 時間的ニッチ / マウス / 光 / 温度 / 活動リズム / マスキング / オプシン / TRPチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
生物にとって、環境の変化に適応できるかどうかは死活問題である。自らの生存に都合の良い時期や時間帯に合わせて活動を変化させる適応様式を「時間的ニッチ」というが、その制御機構は謎に包まれている。本研究では、光と温度という2つの大きな環境要因に着目し、脊椎動物における時間的ニッチの制御機構の解明を目的とした。 哺乳類における新規光受容タンパク質オプシン5を欠損するマウスにおいて、紫外光に対する活動リズムの光同調能を検討した。このとき、同じく紫外光感受性であるUV錐体オプシンの関与が疑われた。本年度は、網膜の視細胞が退化・消失するrd突然変異マウスとの交配により、オプシン5とUV錐体オプシンの両方を欠損するダブルミュータントマウスを作出した。また、このマウスを用いて光同調能を検討した。 哺乳類の脳内光受容能について検討するため、オプシン5陽性細胞に対するスライスパッチクランプ解析を計画した。本年度は、自然科学研究機構・生理学研究所主催の生理科学実験技術トレーニングコースに参加することにより、スライスパッチクランプ法の基礎技術を習得した。 環境の温度周期がマウスの活動抑制現象(ネガティブマスキング反応)を引き起こすことを見出していたが、様々な温度条件下におけるマウスの活動パターンを比較・定量することにより、マスキング反応が生じる条件を明らかにした。現在、哺乳類の温度受容器として知られるTRPチャネルファミリーに着目し、いくつかのTRPチャネル欠損マウスを用いた行動解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた「オプシン5及びUV錐体オプシンのダブルミュータントマウスの光同調実験」、及び「マスキング反応の生じる温度条件の解明」については、計画通り遂行することができた。しかしパッチクランプ解析については、現時点では手法の習得に留まっており、計画に遅れが生じているため(2)と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
所属研究室で作製した、オプシン5ノックアウト(EGFPノックイン)マウスを用いたスライスパッチクランプ解析により、生体内のオプシン5陽性細胞における光応答能を明らかにする。 TRPチャネル欠損マウスを用いた行動解析を更に進め、環境温度によるマスキング現象を制御する温度受容器を同定する。また、それを司る神経回路についても検討する。
|
Research Products
(4 results)