Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 超臨界法ゾルゲル法における細孔構造および金属構造の同時制御を可能にするとともに, 触媒構造と触媒能の関係を明らかにし, 対象反応に応じた触媒調製を達成することを目的としている. この目的を達成する上で, ①本研究では, 超臨界ゾルゲル法を用いたメソポーラスシリカ担持Pt触媒調製における操作条件検討, および②水素化反応を対象反応とした触媒活性評価による触媒構造と触媒能の関係の解明という2つの課題に取り組んだ. 触媒調製時の温度, 圧力依存性を検討した結果, 白金の担持量と分散性はCO2圧上昇とともに向上し, 細孔構造に関しても同様に圧力に伴って細孔構造が変化した. これは, 圧力が上昇することで超臨界CO2の密度が増加し, ミセル内部に侵入する超臨界CO2と白金前駆体が増加するためであると考えられる. しかし, 白金の単分散性が20MPaで最もよくなるということを見出しており, 単分散性を向上させる最適な圧力条件が存在する可能性がある. 以上のことから圧力の制御により触媒構造の制御可能性が示唆された. 次に, 調製した白金担持メソポーラスシリカについて, 触媒活性試験を行い, 従来の含浸法, および水溶媒を用いたゾルゲル法にて調製した触媒との活性比較, および, 操作圧力を変化させて調製した触媒について触媒活性試験を行った. 担持手法の比較では, 超臨界ゾルゲル法は含浸法と水溶媒のゾルゲル法で調製した試料と比べ, 白金触媒の分散性の向上が向上し, 反応選択率が大幅に向上した. また3つの圧力条件で調製した試料について, 反応場となる細孔容積が最も大きくなった30MPaで調製した触媒で, 反応転化率が僅かに向上し, 白金の粒子径が小さく, 単分散性が良い20MPaで調製した触媒で, 反応選択率が大幅に向上した. このことから, 圧力を制御し触媒構造を制御することで, 反応転化率と反応選択率の更なる向上が期待できる.
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