2014 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素アート錯体の酸-塩基複合作用を利用した二酸化炭素の資源化法の開拓
Project/Area Number |
14J04077
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高田 雄貴 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 二酸化炭素 / 二酸化炭素化学変換 / 触媒 / 含フッ素化合物 / オキサゾリジノン / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素の資源化反応として、オキサゾリジノン合成を促進する触媒の開発を行った。本反応は、天然アミノ酸から誘導可能な beta-アミノアルコールと二酸化炭素を原料に、不斉補助基等として重要なオキサゾリジノンを脱水的に合成する反応である。 研究計画に示した、フッ素原子を含む化合物と二酸化炭素との親和性を考慮した触媒探索指針に基づき、含フッ素化合物を中心に触媒前駆体の探索を行った。その結果、フッ素化試薬TBAT (Bu4N+[SiF2Ph3]-) が触媒として効果的であることを見出した。脱水剤等といった添加剤は必要としない。低圧のCO2 (1-9 atm) 条件下において種々の置換基をもつアミノアルコールからの光学活性なオキサゾリジノン合成を達成した。beta-アミノアルコールの絶対立体配置は、反応の前後でalpha位、beta位ともに保持された。アミノアルコールのヒドロキシル基が求核剤として働き、二酸化炭素に含まれる酸素原子のうち一つが脱離することを明らかにした。 反応混合物の NMR 及び MS 測定により、フッ化物イオンと含ケイ素化合物(例えば、シロキサン((OSiMe2)3) との組み合わせがオキサゾリジノン収率向上に関して相乗効果をもつことを示した。これらを用いると、 TBAT を用いた場合と比べ、触媒量の削減と二酸化炭素圧の低減、オキサゾリジノン収率の向上、基質適応範囲の拡大が達成された。 本研究成果は、含フッ素化合物が二酸化炭素の化学変換に対して触媒として有効であることを示した内容であり、今後、二酸化炭素を原料とする反応を開発する際の触媒設計指針となりうる。また、シロキサンをよりありふれた固体のシリカなどに置き換えることができれば、二酸化炭素の化学変換触媒の固定化へと発展させられる可能性がある。 以上の研究成果は、RSC Advances 誌に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示したように、含フッ素化合物の二酸化炭素との親和性を考慮した二酸化炭素の化学変換触媒の開発に成功しており、初年度の計画通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発した触媒反応をより効率的に行うために、触媒の固定化を行う。そのために、既存の固定化方法や新規固定化方法の適用を検討する。これに関しては二酸化炭素のオキサゾリジノンへの変換反応に捉われることなく行う。 また、二酸化炭素やバイオマス由来物質の真に環境負荷低減型化学変換を達成するため、光を利用した光触媒反応の有効性を検討する。
|
Research Products
(3 results)