2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞選択的に機能誘導可能な感染性ウイルス模倣表面の創製
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14J04086
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 孝春 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | HVJ-E / 不活性化センダイウイルス / 交互積層法 / タンパク質活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、不活化センダイウイルス(HVJ-E)のように、免疫細胞活性化能や細胞融合能、細胞種選択的な細胞死誘導能を有したウイルスを固定化し、それが誘発する細胞応答を評価した知見は得られていないことから、このウイルスを表面に固定化し、より多くの材料表面に対する修飾技術を開発することができれば、HVJ-Eを用いた高機能性材料開発による生体材料学への多大な貢献が期待される。この細胞選択的に機能誘導可能な感染性ウイルス模倣表面を開発するために、HVJ-Eの基材表面への固定化方法を確立し、HVJ-Eの有する免疫細胞活性化能、ハイブリドーマ形成能、癌細胞選択的な細胞死誘導能を有する新規の感染性ウイルス模倣表面を構築することが主たる研究目的である。採用初年度は、研究実施計画の通り、下記の二点を明らかにすることを目的とした。①HVJ-Eの固定化量がコントロール可能な表面固定化方法の確立、②固定化HVJ-Eの膜タンパク質活性評価、の上記二点である。当初の予定ではHVJ-Eの固定化は、疎水基末端ポリエチレングリコールを用いた脂質膜へのアンカリングにより固定化する計画であったが、固定化HVJ-Eの安定性の欠如から、Layer-by-Layer法を用いた静電相互作用による固定化に切り替えた。この手法では、初期ウイルス溶液のウイルス濃度を調整することで、表面固定化量をコントロール可能であることを見出した。加えて、HVJ-Eが極めて安定的に固定化され、固定化後もその球状形態を維持していることが原子間力顕微鏡で確認できた。さらに、固定化後のHVJ-Eの膜タンパク質活性を赤血球を用いた溶血試験により評価すると、固定化後も溶血反応が確認されたことから、HVJ-Eの膜タンパク質の活性を維持したまま固定化出来ていることを見出した。採用初年度に計画していた二点の課題検討を達成し、研究成果を国内外の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、採用初年度にHVJ-Eの固定化条件の検討と膜タンパク質の活性評価を予定していた。それらの評価が完了し、二年度目に予定していた細胞実験に既に取り組んでおり、「当初の計画以上に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
二年度目は、当初の研究計画通り、HVJ-Eのハイブリドーマ形成能の評価、ヒモ状、網目状の細胞など、細胞の形をコントロールしたハイブリドーマの形成。HVJ-Eの有する癌細胞特異的な細胞死誘導能の検討、樹状細胞やその他免疫細胞の応答性を評価する予定である。
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Research Products
(6 results)