2015 Fiscal Year Annual Research Report
花崗岩の四種硫黄同位体比から読み解く海洋-地殻-マントルの硫黄循環
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14J04095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青山 慎之介 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 太古代 / 硫黄循環 / 硫酸還元菌 / 地下生命圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期地球における海洋地殻中での硫酸還元菌の活動領域を制約し、また太古代海洋地殻の深度硫黄プロファイルを作成するため、西オーストラリア・ノースポール地域に産出する玄武岩、及びコマチアイトの硫黄同位体比測定を行った。前年度に行ったキュリー点加熱装置を用いた硫黄同位体比迅速計測法を用い、変質玄武岩・コマチアイトに含まれる硫化鉱物の同位体組成を測定した。 変質玄武岩中の硫化鉱物の硫黄同位体比は質量依存の法則に従い、δ34S値が0‰ ~ -25‰の範囲でバラつきを示す一方で、いくつかの変質玄武岩中の硫化鉱物は質量依存に依存しない同位体分別を示した。その同位体異常は玄武岩に貫入している熱水脈中の硫化鉱物と酷似していることもわかった。さらに、変質玄武岩から抽出できた硫酸塩鉱物の同位体比は質量依存かつδ34S= +15‰であった。この値は重晶石の同位体組成と、熱水脈中の硫化鉱物の同位体比から予測される大気由来硫酸の同位体組成の不一致を説明できる整合的な値である。観測した変質玄武岩中の硫化鉱物同位体比分布を説明するため、太古代ノースポール熱水系の硫黄循環をモデル化した。その結果、①95%の熱水由来の硫酸に、5%だけ大気由来の同位体異常を持つ硫酸を混ぜた硫酸が太古代の海洋底にあったこと、②このような硫酸が熱化学的というよりもむしろ微生物的プロセスで硫酸還元がなされたこと、が明らかになった。これらの結果は当時の熱水場が硫酸を供給していたことを強く支持する。また地質図より復元した当時の海底下深度を元にし、太古代の海底下1000 mまで微生物活動があった可能性があったことを示した。 また、花崗岩についても玄武岩と同様の手法にて予察的なデータを得た。
これらの研究成果は、日本地球惑星科学連合2015年大会、2015年度 日本地球化学会年会、ゴールドシュミット国際会議で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花崗岩についても予察的なデータを得て、概ね順調に進展している。来年度にはさらに花崗岩を発展させられるものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
慎重な試料選別の元、様々な花崗岩の硫黄同位体比を測定し、初期地球における硫黄循環を制約する。
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Research Products
(4 results)