2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J04098
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土井 寛之 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 超Arrhenius的イオン伝導 / 擬プロトン性イオン液体 / プロトン伝導機構 / 集団的ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトン性イオン液体PILは、酸HAと塩基Bの共役イオンからなるイオン液体であり、高いプロトン伝導性から無加湿中温型燃料電池電解質として期待されている。Angellは、溶液のモルイオン伝導率が粘性率の逆数に比例するというWalden則に基づき、プロトン移動が起きにくい液体をイオン伝導性に乏しい poor ionicとした。われわれは、N-メチルイミダゾール-酢酸混合液体が、殆どイオン解離しないにもかかわらず、高いモルイオン伝導性を示すことを明らかにした。われわれは、Angellの分類やアレニウスの電離説に反する、新しいイオン伝導、いわば超Arrhenius的イオン伝導を見出し、このような液体を擬プロトン性イオン液体と呼ぶことを提案している。擬PILは、従来の電解質溶液論の原点であるアレニウス電離説を覆すような全く未知の物質群であり、本研究は意義深いと言える。 一方、超Arrhenius的イオン伝導では、液体中におけるイオンもしくは分子の回転が重要な鍵を握っているにもかかわらず、擬PILに関する基礎科学は、未だ確立できていない。本課題は、新たな擬PILを探索するとともに、擬PILに関する基礎科学を確立することを目的としている点で、本課題は非常に重要性が高いと言える。 具体的には、生体中の協同的プロトン移動が期待できるイミダゾール類縁体やジカルボン酸、トリカルボン酸などを系統的に調査し燃料電池特性を明らかにする。また、プロトン伝導キャリアおよび水素結合ネットワーク液体構造を明らかにし、プロトン伝導機構を明らかにする。プロトン伝導キャリアは、プロトン溶媒和クラスターとして振る舞い、その集団的ダイナミクスがプロトン伝導の鍵を握るため、プロトン伝導キャリアの集団的ダイナミクスの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題では、超Arrhenius的イオン伝導を示すような(1)新規プロトン伝導液体の探索として、さまざまな酸と塩基について、系統的に調査を行なった。その結果、N-エチルイミダゾールと、種々の超強酸や弱酸からなる混合液体は、室温で液体であり、さらに、広い温度範囲で液体であることが明らかとなった。したがって、われわれは、溶媒和により、液体の酸塩基性を制御、すなわち、プロトン移動平衡を制御することが可能であるという見通しを立てることが出来、基礎科学の確立に向けた道筋が立てられた。 さらに、擬PIL中における(2)プロトン伝導機構の解明については、N-メチルイミダゾールと酢酸混合液体について、擬PILの自己拡散係数をパルス磁場勾配NMR実験により決定し、超Arrheniusプロトン伝導を実験的に証明することが出来た。 以上の点から、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
原則として前年度に引き続き、探索と機構解明を進める。 (1)新規プロトン伝導液体の探索は、ピラゾールや、トリアゾールなど種々の類縁体塩基を系統的に調査する。イミダゾール同様、シュウ酸などジカルボン酸やトリカルボン酸も協同的プロトン伝導が期待でき、これらを中心に探索を進め、擬PILの協同的プロトン伝導に関する基礎科学を確たるものとする。(2)プロトン伝導機構の解明については、引き続き新規プロトン伝導液体の機構解明を目指す。集団的ダイナミクスの解明については、国際学会(34th ICSC, Praha, Czech RepublicおよびEMLG/JMLG Meeting 2015, Rostock, Germany)への参加の機会を利用し、今年度も継続してBuchner研への渡航を予定しており、擬PIL中のプロトン伝導キャリアの集団的ダイナミクスの解明を目指す。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Li+ solvation in glyme-Li salt solvate ionic liquids2015
Author(s)
Kazuhide Ueno, Ryoichi Tatara, Seiji Tsuzuki, Soshi Saito, Hiroyuki Doi, Kazuki Yoshida, Toshihiko Mandai, Masaru Matsugami, Yasuhiro Umebayashi, Kaoru Dokko and Masayoshi Watanabe
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Journal Title
Phys. Chem. Chem. Phys.
Volume: 17
Pages: 8248-8257
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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