2014 Fiscal Year Annual Research Report
p53による幹細胞制御性lincRNA同定と組織癌幹細胞とESでの機能的発現解析
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14J04216
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋口 誠一郎 千葉大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 転写因子p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、転写因子p53と幹細胞機能調節との関連が明らかになっている。本研究はヒトES細胞の分化におけるp53の役割を特に三胚葉への初期分化に焦点をおいて明らかにすることを目的とした。方法として、ヒトES細胞(KhES1)及びCRISPR/Cas9システムを用いたp53ノックアウトヒトES細胞(p53KO細胞)を用いて、retinoic acidによる分化(RA分化)及び神経幹細胞分化モデルを用いて、多能性・三胚葉性・p53の遺伝子発現を観察した。また、p53の分化制御のメカニズム解析を目的に、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて、epigenetic修飾の評価を行った。 RNA-sequenceと生化学解析により、両モデルで分化に伴うコロニー形態変化と多能性遺伝子の著明な抑制を認めた。RA分化の過程において、p53の一過的な発現誘導が観察され、内胚葉系遺伝子GATA4等の分化遺伝子の上昇を認めた。p53KO細胞を用いてRA分化を行ったところ、野生型と比してGATA4は抑制され、神経幹細胞分化のkey regulatorであるPAX6が強く誘導された。次に、神経幹細胞分化モデルでは、分化の過程でp53の二相性の誘導を認め、分化に伴いPAX6の強い発現誘導を認めた。p53KO細胞を用いた検討では、野生型に比してPAX6の早期からの発現誘導を認めた。この結果よりp53のPAX6への抑制的な制御が考えられた。epigenetic修飾の評価ではp53 KO細胞において、神経幹細胞分化時のPAX6 promoter部位のH3K4me3のより強い上昇が観察され、p53によるepigenetic修飾を介したPAX6制御メカニズムの可能性が考えられた。 以上より、p53はヒトES細胞の初期分化において、PAX6制御を介した外胚葉系分化抑制や内胚葉系分化への関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトES細胞の分化の系を行い、特に神経幹細胞分化におけるp53の役割の検討を行うことができた。さらに、最新のゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9システムを立ち上げ、p53ノックアウトES細胞を作成し、ES分化におけるp53の役割について解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
p53ノックアウトES細胞を用いて、ES細胞でより直接的にp53の制御を受けるlinc RNAの探索を行う。また、SCIDマウスへの細胞打ち込みによるテラトーマ形成アッセイの解析も行う。さらに、CRISPR/Cas9システムを応用し、遺伝子ノックインによるlinc RNAのノックアウトを行い、それらをsingle cellまで分離させ、single cell analyzerにより機能変化を遺伝子発現解析から単一細胞レベルでプロファイルを行う事を予定している。
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Research Products
(5 results)