2014 Fiscal Year Annual Research Report
アリ擬態クモにおけるミミック-モデル関係の進化パターンの解明
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14J04245
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山﨑 健史 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | アリグモ属 / ハエトリグモ科 / 東南アジア / アリ擬態 / 分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アリ擬態クモ類とアリ類における擬態のミミックーモデル関係を(1)野外から得られる地理的分布データと標本写真データから算出する類似度をもとに推定すること、(2)アリ擬態クモ類を網羅的に扱い系統関係を推定すること、これら2つが大きな柱となっている。 本年度は、野外調査によるサンプル採集に重点を置き、タイとベトナムでそれぞれ2回ずつの調査を行なった。採集・文献調査からタイには11種、ベトナムには14種のアリグモ属が生息することが分かった。これまでタイから正式なアリグモ属の記録は1種のみであったが、今回の調査で大幅に種数が増え、タイのアリ擬態クモ類相の解明につながった。タイ産アリグモ属11種のうち2種は未記載種であることが分かり、現在論文作成に取り組んでいる。この成果の一部は、タイのチェンマイで開かれたアジアクモ学会第2回大会で発表した。ベトナム産アリグモ属14種のうち3種は未記載種であることが分かった。ベトナムからの成果も分類学的研究として現在論文を作成中である。 アリ擬態クモ類の分子系統解析: アリ擬態クモ類のうち、トゲアリ属に擬態しているMyrmarachne maxillosaとツムギアリに擬態しているM. plataleoides, M. assimilis, M. clavigeraを中心に分子系統解析を開始した。 ミミック-モデル関係の推定: 野外調査中にアリ擬態クモ類の背面写真の撮影を行った。今後、各アリ擬態クモ類と一緒に採集されたアリ類の標本作成と写真撮影に取り掛かる予定である。画像比較による類似度算出は、共同研究者と打ち合わせ中である。地理的分布データからのミミック-モデル関係の推定は、現在標本を整理しながら進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず調査であるインドシナ半島全域のアリ擬態クモ類相の解明が必要であったが、現在までに野外調査から多くのサンプルを得ることができ、種の整理が大幅に進展した。今後、標本写真データの比較解析作業とアリグモ属の系統解析を中心に行う予定で、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
分類学的研究:2015年度の早い段階で、これまでに発見されたアリグモ属の未記載種の記載論文を作成、提出する。
アリ擬態クモ類の分子系統解析:これまでに集まったサンプルのうち、トゲアリ属に擬態しているMyrmarachne maxillosaとツムギアリに擬態しているM. plataleoides, M. assimilis, M. clavigeraを中心に分子系統解析を進める。
ミミック-モデル関係の推定:研究室内での標本作成と写真撮影に取りかかる。
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Research Products
(4 results)