2014 Fiscal Year Annual Research Report
SMP30/GNLとGLOを例にした不安定中間代謝物の輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
14J04356
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
原田 彩佳 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | GLO / SMP30 / ビタミンC / マルトース結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はビタミンC合成系路のL- グロノ-γ-ラクトン酸化酵素 (GLO)の精製条件の検討について実験を行った。共同研究先である東京都健康長寿医療センターからからGLO遺伝子をN末端に6個のヒスチジン(6×His) 配列を持つpDEST17ベクター(インビトロジェン社)に組み換えた発現ベクターを供与していただいた。まず大腸菌BL21(DE3)を用いて6×His-GLOとして組換えタンパク質を作製したが、6×His-GLO組み換えタンパク質は不溶性であったため、8M 尿素存在下でNi-NTAを用いて再度精製を試みたが改善が見られなかった。そこで、当研究室で使用実績のあるマルトース結合タンパク質 (MBP) を用いた精製方法に切り替えた。GLO遺伝子をN末端に6個のヒスチジン(6×His)およびMBP配列を持つpOPTHMベクター (当研究室作製)に組み換え、大腸菌C41 (DE3)を用いて6×His-MBP-GLOとして組換えタンパク質を作製した。37℃にてOD600が0.8-1.0に達した後、0.3 mM IPTG添加し 16℃ で24時間培養を行った。精製は以下のステップで行った、HisTrap (GE ヘルスケア) < MBPTrap (GE ヘルスケア) <TEVによるタグ切断 < Histrap HP (GEヘルスケア) 。今後はタンパク質のTm値の変化からより安定なBuffer条件みつけるdifferential scanning fluorimetryを用いて最適化を行う予定である。SMP30/GNLの精製条件の改善については、一度に大量に精製できないものの精製条件は確立しているため、現在はGLOの精製条件の検討を優先して行っている。GLOは精製条件が決まり次第、結晶化スクリーニングを行い結晶化条件の検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質X線結晶構造解析の位相決定方法は、現在セレノメチオニン置換タンパク質を用いた単長異常分散法 (SAD) が主流であるが、当研究室で開発に力を入れているS-SAD法は、タンパク質に本来含まれる硫黄原子の異常分散効果を利用するため、セレノメチオニン置換タンパク質を作製する必要がなく、タンパク質結晶学の分野では次世代の位相決定法といえる。このような状況の下、GLOの位相決定はS-SAD法により行うことを予定している。しかし、S-SAD法による回折強度データの収集は、硫黄原子の異常分散効果が高い長波長X線を用いて測定を行う必要があり、また、空気、溶媒、ループ等におけるバックグラウンドの増加も加味しなければならない。GLOの結晶はまだ得られていないため、これまでSphingobium sp. SYK-6株の脱メチル化酵素 (LigM)を用いてS-SAD法の回折強度データ収集と解析を行ってきた。 LigMは分子量 53 kDaで14個の硫黄原子 ( 0個 Cys, 14個 Met)を含んでいるため、S-SAD法による位相決定の良い例になると見込んだ。しかし、これまで150以上ものデータセットを集め試行錯誤データ解析を行っているが、位相決定が成功していない。S-SAD法という新しい位相決定法の開発に力を入れていたため当初の計画よりもやや遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
S-SAD法による回折強度データはタンパク質結晶の結晶性が非常に重要であるが、 LigMの結晶性は安定しないことが多いので、結晶化スクリーニングを再度試し、結晶化条件の最適化を引き続き行う。また、リガンドや補酵素等を加えると結晶性が改善することもあるためLigMの補酵素であるテトラヒドロ葉酸をソーキング法や共結晶化法により加える実験も並行して行う予定である。また、当研究室で力を入れているS-SAD法による位相決定を目指しているが、今後は臭素 (Br2)やヨウ素 (I2)を用いたSAD法も同時に試し、S-SAD法による位相決定法との比較を行うことも視野に入れている。GLOの結晶化も同様に行い、今年度中に構造決定を目指す。
|
Research Products
(3 results)