2015 Fiscal Year Annual Research Report
地域間交流からみた先スペイン期中央アンデス地域における初期国家形成過程の研究
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14J04503
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
土井 正樹 山形大学, 社会文化システム研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 初期国家形成 / 中央アンデス地域 / ペルー / ワリ国家 / 先スペイン期 / 文化人類学 / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のペルーを中心とする中央アンデス地域では、「インカ帝国」に代表される古代国家が旧大陸とは異なる歴史過程を経て出現した。その中で、紀元後6~7世紀頃のワリ国家の成立は、中央アンデス地域初の広域国家の出現を示している。 広域国家としてのワリ国家に関する研究は、その地方支配に関するものが主であり、ワリ国家の中核地域であるアヤクーチョ谷での調査は限られている。これまで私がアヤクーチョ谷で実施してきた調査の成果によれば、ワリ国家成立の要因は、通説となっているティティカカ湖沿岸地域からアヤクーチョ谷への文化・社会的影響ではなく、アヤクーチョ谷のワルパ文化の人々とペルー南海岸ナスカ文化の人々と交流の活発化であった可能性が高い。 この仮説を検証するために、本年度は8月から10月にかけて、ペルーでの発掘調査および一般調査を実施した。まず、9月にアヤクーチョ谷と南海岸の中間地点に位置する、ビスカパルカ地域で一般調査を実施した。踏査した遺跡の1つであるチュパ・ビスカパルカ遺跡ではとくに興味深い成果が得られ、この遺跡がワリ国家成立の直前期に利用されていたこと、建築の保存状態が良好であることが確認できた。期待していたナスカ文化やワルパ文化の土器をこの遺跡で採取することはできなかった。しかし、チュパ・ビスカパルカ遺跡での調査の期間や範囲は限られており、この遺跡にそのような土器が存在する可能性は残されている。 10月には、アヤクーチョ谷のワンカ・ハサ遺跡において発掘調査を実施した。その結果、住民による遺跡破壊が進んでいることが判明した。その一方で、手つかずの未発掘区もわずかながらに残されており、アヤクーチョ谷と南海岸の人々の交流を示す、新たな土器資料を入手することができた。 このようなフィールドワークに加え、研究成果を公表するため、学会誌への論文投稿や国内外での学会発表を行った。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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