2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J04778
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯浜 賢志 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | pump-probe法 / 時間分解磁気光学カー効果 / 垂直磁化膜 / FePd / スピン波伝搬 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず我々はスピン波伝搬を空間分解、時間分解で観測するためのpump-probe法測定装置を構築した。構築した光学系を用いてパーマロイ薄膜におけるスピン波の波束の伝搬を観測した。また観測したスピン波の波束は磁化の方向に対して伝搬が異方的であり、理論から予測されるスピン波の分散関係から説明できる結果となった。この結果を応用物理学会、スピン変換年次報告会において学会発表を行った。 垂直磁気異方性材料をスピン波の導波路として使用することはゼロ磁場での動作や、スピン波の分散関係の等方性から曲がった導波路での伝搬を可能にする。しかしながら垂直磁化膜を用いたスピン波伝搬の観測の報告は一つもない。垂直磁化膜でのスピン波伝搬を可能にするためには大きな飽和磁化かつ小さな磁気摩擦定数を持つ材料が必要である。その特性を満たす材料としてL10-FePdが挙げられる。我々は高品位FePd薄膜の作製に取りかかり、バルクと同程度の磁気特性を有するFePd薄膜の作製に成功した。そのFePd薄膜を用いて磁化才差運動(スピン波)の時間分解測定を行った結果、長時間持続磁化才差運動(スピン波)を観測した。得られた磁気摩擦定数は報告されている垂直磁化膜の中で最小であり、この結果を応用物理学会、日本磁気学会で学会発表するとともに、Applied Physics Letters, Journal of Magnetic Society Japanの学術雑誌に論文を投稿しこの結果を報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピン波伝搬を空間分解かつ時間分解で観測する測定装置を構築し、パーマロイ薄膜においてスピン波伝搬を観測することができたため、順調に進展している。またFePd薄膜が小さな磁気摩擦定数を持つ材料であることもわかったため、研究を遂行する材料の点に関してもおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、観測したパーマロイ薄膜におけるスピン波伝搬を系統的に測定しかつ理論計算結果と比較することにより、実験結果の現象論的理解を行う。また次に作製に成功した高品位垂直磁化FePd薄膜において、構築した空間分解、時間分解磁気光学カー効果を用いてスピン波伝搬の観測を試みる。
|
Research Products
(10 results)