2014 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動と感覚との間で生じる時間的再較正の基礎過程についての実験心理学的検討
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14J04865
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
辻田 匡葵 千葉大学, 融合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 時間順序判断 / 遅延順応 / awareness |
Outline of Annual Research Achievements |
能動的な身体運動に対して視覚的フィードバックが遅れて提示される状態が持続すると,身体運動と視覚との間の時間順序知覚がその遅延を補償するように順応的に変化する (身体運動-視覚間時間再較正).視知覚に関する順応現象の研究において,低次の段階で処理された特徴を統合する役割を果たす高次の段階での処理が寄与している知覚に関しては,刺激の提示に気付いている場合にのみ順応が生じることが知られている.本研究では,身体運動-視覚間時間再較正が視覚的フィードバックの遅延に対する気付きの有無に影響を受けるのか検討した. 実験1では,順応期間中に視覚的フィードバックの遅延を小刻みに増加させて観察者が遅延に気付き難くしたmultiple-step lag条件と,視覚的フィードバックの遅延を大きく増加させて観察者が遅延に気付き易くしたsingle-step lag条件を設けた.実験の結果,single-step lag条件では再較正が生じたものの,multiple-step lag条件では再較正が生じ難くなった. 実験2では,実験1のsingle-step lag条件と同じ手続きの実験を全ての観察者に行わせた.実験終了後,遅延が導入されたことに気付いたか尋ねて,遅延の導入に気付かなかった群 (unaware of lag群) と気付いた群 (aware of lag群) に分けて,群間の比較を行った.実験の結果,aware of lag群では再較正が生じたものの,unaware of lag群では再較正が生じ難くなった. 実験1,2の結果から,身体運動-視覚間時間再較正の成立には視覚的フィードバックの遅延に対する気付きが重要な役割を果たしていることが明らかになった.すなわち,身体運動-視覚間時間再較正の成立にも身体運動と視覚それぞれの時間情報を統合する高次の過程が寄与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遅延に対する気付きの影響を検討することで,身体運動-視覚間時間再較正の基礎にある過程の解明を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた身体運動-視覚間時間再較正の基礎にある過程の解明について,さらに理解を深められるような実験を計画している.具体的には,身体運動の課題によって再較正の生じる程度が異なるのか検討する予定である.
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Research Products
(5 results)