2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J04879
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田阪 美樹 金沢大学, 理工研究域 自然システム学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | かんらん石 / 変形 / マントル / 水 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
水に飽和した鉄の多いかんらん石多結晶体[(Mg1Fe1)SiO4]を用いて、実験温度T = 1200C、圧力P = 300MPaで含水ねじり実験を行い、含水かんらん石多結晶体の岩石組織と変形挙動を調べた。これらの実験結果を基に投稿論文の準備を行った。 かんらん石は上部マントルの主要鉱物であるため、かんらん石の流動特性はマントル流動を考える上で重要である。変形実験から得られた応力・歪速度・粒径を用いて算出された応力指数と粒径指数(n = 5, p = 0)より、試料は転位クリープで変形している事が分かった。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた変形試料の観察より転位クリープ下で変形した岩石に特徴的な組織、かんらん石の強い結晶定向配列、亜粒界の発達、波動消光が観察された。出発・変形試料の赤外分光法 (FT-IR) による解析から、実験温度・圧力条件で試料は水に飽和していることが示唆された。変形試料のかんらん石の格子定向配列 (LPO) は、温度・圧力・含水量一定条件下で歪みと共に変化し、これはかんらん石の3つの主要すべり系(010)[100], (100)[001], (001)[100] の競合によって説明可能であることを示した。このかんらん石LPOの発達により、歪み弱化が引き起こされ、歪速度一定の条件で36%の応力降下を引き起こすことが分かった。本研究で観察された流動特性と組織変化の発達は、含水下のマントル流動を考える上で重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マントル・レオロジー研究では第一線にいるミネソタ大学Kohlstedt研究室でガス圧試験機を用いた変形実験を行い、含水かんらん石多結晶体の高歪み変形実験の方法論を確立し、力学データと変形組織を得ることに成功した。本実験から得られた含水下における変形組織・力学特性変化は、マントル・レオロジー、特に含水下のせん断変形集中帯などでの強度を明らかにする上で重要な成果である。これらの結果は現在まとめの段階に入っており、論文投稿の準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の研究では個別に行われる実験と天然試料の解析を1つのモデルにも基づき行い、含水かんらん岩の変形構造発達について詳細に議論する点が本研究の特色である。次年度は東赤石かんらん岩体から産出された、かんらん岩の組織解析を行い、実験と比較する予定である。
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Research Products
(4 results)