2014 Fiscal Year Annual Research Report
漢文文化圏における日本の説話研究-ベトナムの説話を視野に入れて-
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14J04948
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐野 愛子 明治大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 説話 / ベトナム / 漢文 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は漢文文化圏を視野にいれた説話研究である。中でもまだほとんど手が付けられていないベトナムの説話需要は大きいものの、研究者の不足から供給がおいついていない。そこで今年度はベトナムでの説話資料収集に力をいれることにした。特にベトナムでは現存していない資料等を典拠にして編纂されており、陳朝時代以前の祭祀体系 を探る上で重要な書である『越伝幽霊集録』を収集、紹介、研究するために、ベトナムに所蔵されている『越伝幽霊集録』の諸本を集めた。また『越伝幽霊集録』に関する研究書の収集、コピーをした。長期滞在中に入手、研究した資料をもとに『越伝幽霊集録』に関する発表をおこなった。 日本にある『越伝幽霊集録』の諸本も見に行き、現在のところ最も古態をとどめているとされる東洋文庫蔵の『越伝幽霊集録』をデータベースとして公開することを目標に翻刻した。現在、翻刻が終了し解題を書いて2017年度中の公開を目指している。 ベトナムの神話・伝承に関する書である『嶺南せっ怪列伝』を読みすすめた。ハノイの漢喃研究院にある三巻本を底本としており、巻三の多くの話は『越伝幽霊集録』と重なる。それぞれの話の相違点をあげてゆくことで、『嶺南せっ怪列伝』および『越伝幽霊集録』の性質を明らかにしつつある。それらの研究成果の発表は2017年度におこないたい。 その他にベトナムの僧伝である『禅苑集英書』を読みはじめた。書誌研究や話の分析、さらには東アジアの僧伝との比較をしてゆきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムの説話資料を収集できた。また現地で調査したために、ベトナムの研究者と多く交流でき、当初、収集しようと思っていた資料以外にも、多くの説話を読むために必要な資料を手に入れることができた。 それらの収集した資料を公開するための基礎的な作業が終わり、2017年度中に公開する見通しがたった。また研究した内容を発表することができ、その内容は2017年度に論文投稿をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムの説話資料をデータベースとして公開する。 引き続きベトナムでの調査をおこなう。ベトナムでのフィールドワーク調査は、交通の便や治安の面を含めて一人でおこなうには困難が伴うことが多い。有名でバス等の交通手段がある場所以外の調査は、ベトナム人の研究者や案内人を雇うなどの対応をしておこないたい。 研究成果は発表、論文などで公開してゆく。日本文学もしくはベトナムでの学会を予定していたが、東方学会や英語圏などで東アジアに関心のある学会があれば、交流してゆく。
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Research Products
(1 results)