2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J04949
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
熊谷 仁志 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 環境性決定 / オオミジンコ / doublesex / ゲノム編集 / Met / 2Aペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、環境性決定のモデル生物であるオオミジンコを対象にDsx1遺伝子の上流の発現制御を明らかにすることである。この分子機構が判明すれば、性決定機構の普遍性や進化の解明に繋がると考えられる。
Dsx1遺伝子の上流の発現機構を解明するために、性決定期に分泌される幼若ホルモンの応答配列を調べることにした。幼若ホルモンは、Metと複合体を形成し、その後標的配列に結合する。そこで、Hisタグを融合したMet(His-Met)遺伝子を発現する遺伝子組み換えミジンコを作製し、anti-Hisタグ抗体を使用したクロマチン免疫沈降法でMet-DNA複合体を回収しようと考えている。His-Met遺伝子の導入を判別するために、蛍光タンパク質を同時に導入する必要がある。そこで、2Aペプチドに着目した。2Aペプチドはリボソームのトランスフェラーゼ活性を阻害し、ポリペプチド鎖の連結を抑える。これにより、上流と下流の遺伝子が共発現する。ところが、生物種によって2Aペプチドの切断効率が低いことも知られているため、ミジンコにおける2Aペプチドの機能と活性を調べた。
切断活性を調べるため、2Aの上流と下流で異なる蛍光タンパク質遺伝子を発現させ、蛍光顕微鏡下での観察とWestern Blot法を行うことにした。まず、ミジンコの全身で機能するEF1a1プロモーターの制御下で細胞膜が赤色、核が緑色に染まるプラスミド(Myr-mCherry-2A-H2B-GFP)を設計した。この遺伝子を導入した遺伝子組み換え個体を作製し、蛍光顕微鏡で観察したところ赤色と緑色の蛍光を確認することができた。これは、ミジンコにおいて2Aペプチドが機能していることを示唆している。ところが、2Aペプチドの活性が低いと上流と下流の融合タンパク質が形成され、本来の局在を示さないことが先行研究により知られている。そこで現在、1) 細胞膜と核における蛍光タンパク質の局在確認、2) Western Blot法を用いた2Aペプチドの切断効率の定量化を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子組み換え個体を作製するためのマイクロインジェクション技術の習得に予定よりも時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
レポーター遺伝子とHisタグを融合したMet遺伝子を導入した"GFP-2A-HisMet"遺伝子組み換えミジンコを作製し、anti-His抗体を使用したクロマチン免疫沈降法を用いて幼若ホルモン応答配列を特定しようと考えている。
|
Research Products
(2 results)