2014 Fiscal Year Annual Research Report
時空間的不均一性を考慮した混合体モデルの開発による廃棄物地盤の力学性状の評価
Project/Area Number |
14J04964
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 慎太郎 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 繊維 - 粒子複合材料 / 応力ひずみ挙動 / 複合則 / 繊維配向角度 / 構成モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
産業廃棄物の不法投棄等の崩壊や処分場跡地の高度利用に目を向けた長期的な視点での廃棄物問題の解決を考える上で,廃棄物地盤の力学的性質の解明やその評価法の提示が強く求められている.本研究では,(1) 複合則を用いた構成モデルの構築 (2) 統計的手法による時系列劣化評価モデルの開発 (3) 確率論を適用した空間的不均一性評価方法の導入 により,時空間的な不均一性を考慮した廃棄物の力学モデルを開発することを目的としている. 今年度は,主に (1) 複合則を用いた構成モデルの構築 に関する検討を行った.廃棄物を繊維材料と粒状材料により構成された繊維-粒子複合材料と捉えることで複合則の適用を試みた.その中で,(A) 繊維材料の粒状材料内での挙動 (B) 繊維材料の配向角度の影響 (C) 構成材料の応力・ひずみ挙動の関連性 が明らかでないことが特に大きな課題であった.そのため,2 種類の一面せん断試験,(a) アクリル板で作製した一面せん断試験装置を用いて繊維材料の挙動を視覚的に把握する可視化実験,(b) ひずみゲージにより繊維材料のひずみの発達傾向を把握する定量化実験 を実施した.結果より,繊維材料の粒状材料内での挙動は,せん断初期には引張変形を示し,繊維材料と粒状材料の界面摩擦強度を超える応力域では引き抜け挙動を示すような弾完全塑性的な挙動を示すことを明らかにした.繊維配向角度の影響については,主に引き抜け挙動時に表れることを明らかにし,繊維配向角度を確率分布で近似し,構成モデルに組み込むことを決定した.さらに繊維材料と構成材料のひずみエネルギー増分を一定と仮定することで適切な構成モデルが構築できることを考察した.以上の検討結果を元に,軸対称条件を想定した繊維-粒子複合材料の構成モデルを構築し,その妥当性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した順序からの変更が少しあったものの,内容的には計画通りに進んでいると考えている.特に,本評価手法の主幹を担う構成モデルの構築が完成したことは,今後の研究の進展を図る上でも重要な成果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,(2) 統計的手法による時系列劣化評価モデルの開発 (3) 確率論を適用した空間的不均一性評価方法の導入 を行っていく予定である. 時系列劣化特性に関しては,繊維材料の劣化特性と複合材料の力学特性の関連性を実験的に明らかにする.さらに時間の概念を統計的に表せる確率過程を援用することで時系列劣化評価手法の開発を行い,本構成モデルへ導入する. 空間的不均一性に関しては,実スケールで考えた際の繊維含有率の不均一性に着目する.繊維材料の含有率が地盤内で大きくばらつく場合に地盤の変形性や安定性に及ぼす影響を実験的・解析的に把握する.さらに本評価モデルの廃棄物地盤への適用性を確認する.
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