2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J04974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡司 芽久 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 機能形態学 / 比較解剖学 / 偶蹄類 / 首 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者は、偶蹄類の首の構造と機能の進化の解明を目指し、様々な種の頸部筋骨格構造の観察・記録を行っている。2015年度は特に、「首の伸長・短縮を引き起こす骨格構造の進化」の解明を目指し、偶蹄目ウシ科ブラックバック族に注目して研究を進めてきた。 研究手法としては、ノギスを使った標本の計測を採用し、首を構成する骨格要素「頸椎」の長さ・太さ等を計測し、種間で比較を行った。国内の自然史博物館には、ブラックバック族の骨格標本は極めて少ないため、共同研究者であるニューヨーク工科大学のNikos Solounias教授の協力を得て、アメリカ自然史博物館にて計15種78個体の骨格標本の観察・計測を行った。 計測データを利用して、各頸椎の成長様式を算出したところ、頸部が著しく長い種(ゲレヌク Litocranius walleri)の頸椎の成長速度は、近縁の首が短い種と同程度であることがわかった。また、首の長さに対する各頸椎の長さの割合を算出したところ、首の長さによらず、各頸椎の割合のパターンは一定であることがわかった。これらの結果から、首の長さの変化は、特定の頸椎の伸長・短縮によって起こるのではなく、全ての頸椎の長さが一定のルールのもとで変化することで起こることを示唆する。 2015年度は、これまで取り組んできたキリンの第一胸椎の機能に関する研究を論文としてまとめ、学術雑誌「Royal Society Open Science」にて発表した。この研究成果は、東京大学の研究成果広報サイト「UTokyo Research」 でも紹介された。第121回日本解剖学会総会・学術大会では、上記論文の内容に関して、招待講演も行った。さらに、日本哺乳類学会2014年度大会にて開催した自由集会「体骨格の適応進化を考える」の内容をまとめ、学術雑誌「哺乳類科学」にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
事前に標本提供を依頼していた国内の研究機関から予想以上に好意的な協力を得たため、偶蹄類ウシ科ブラックバック族における頸部骨格形態のデータが十分に得られた。 また、これまで取り組んできた研究内容を学術論文として出版し、自身の研究について世界中から反響を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度、2015年度に収集したデータをもとに、「キリンの頸部筋肉構造と運動機能に関する研究」、「偶蹄類ウシ科ブラックバック族における頸椎の成長様式と首の長さの多様化に関する研究」の2点を論文としてまとめ、国際学術雑誌に投稿する。
2015年度に学術論文として発表した「キリンの特殊な第一胸椎の機能とその進化的意義に関する研究」と合わせ、学位論文を執筆し、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻に提出する。
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Research Products
(6 results)