2016 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な化学種を内包できる開口フラーレンの有機合成ならびに物性探索
Project/Area Number |
14J04983
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二子石 師 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | フラーレン / 開口フラーレン / 酸素分子 / 基底三重項 / 燐光 / 常磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラーレンC60は内径約4 Åの中空構造をもち,その空間は水分子などの小分子を内包するのに最適な大きさである.もし,望みの小分子を自在に内部に導入することができれば,外界から完全に隔離された単分子としての性質を研究する理想的な分子となることが期待される.本研究では,酸素分子 (O2) の導入を検討した. 開口体へのO2の導入は,粉末に高圧のO2ガスを室温で接触させることで進行した.さらに,開口部上のカルボニル基を還元することで,O2を骨格内部に閉じ込めることに成功した .またHPLCを用いた精製により,酸素分子内包体を単離することができた. 続いて,酸素分子内包体の基礎特性評価をおこなった.1H NMRを測定した結果,水分子内包体のスペクトルと比較して,著しくブロードなシグナルを与えることがわかった.これは内包されたO2の常磁性に起因していると考えられる.また,ESR測定の結果,内包されたO2の三重項間の遷移に由来するシグナルが明確に観測され,酸素分子内包体が基底三重項をもつことが示された.磁化率測定においては,反強磁性転移を伴わない常磁性の振る舞いが観測され,キュリー・ワイスの法則に従うことがわかった.これは,多孔質錯体 (PCP) およびカーボンナノチューブ (SWCNTs) 中に内包されたO2が,分子間で反強磁性の相互作用を示す結果とは明瞭に異なり,O2がフラーレン骨格により効果的に隔離されていることを示している.さらに,酸素分子内包体は前述のPCPおよびSWCNTsと比較して,3 Kという低温において19倍以上の最大磁化率を示し,高いスピン密度を保持していることがわかった. また,内包されたO2は溶液および固体状態において,特徴的な近赤外発光を示し,理論計算の結果と組み合わせることで,O2の束縛された運動がその発光に関与していることが示唆された.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] A Stable, Soluble, and Crystalline Supramolecular System with a Triplet Ground State2017
Author(s)
Futagoishi Tsukasa, Aharen Tomoko, Kato Tatsuhisa, Kato Azusa, Ihara Toshiyuki, Tada Tomofumi, Murata Michihisa, Wakamiya Atsushi, Kageyama Hiroshi, Kanemitsu Yoshihiko, Murata Yasujiro
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Journal Title
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 56
Pages: 4261-4265
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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