2014 Fiscal Year Annual Research Report
１７世紀前半ヴェネツィア共和国の財政制度－ヴェローナ地方における間接税を中心に－
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14J05057
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
野村 雄紀 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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| Keywords | イタリア / ヴェネツィア / 近世史 / 財政 / 地方行政 / 西洋史 / 国際情報交換 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17世紀前半におけるヴェネツィア共和国の財政制度の有効性とこれを追求する政府の姿勢を、間接税の徴収に着目しつつ、実証的に明らかにすることを目的とする。本年度は、本研究を構成する3つの研究内容に同時並行的に取り組んだ。
第1に、修士論文以来取り組んでいる「17世紀前半ヴェネツィア共和国本土領における徴税請負制度の運用」という研究内容に関して、3回の研究報告を通して、その精密化を図った。現在は、本研究内容の論文化に取り組んでおり、論文執筆が終わり次第、投稿先の学術雑誌を選定した上で、論文投稿を行う予定である。
第2に、第1の研究内容から派生した「16-17世紀における本土領監査審問官の活動」という研究内容に関して、背景知識の収集と国立ヴェネツィア文書館における現地史料調査を行った。その結果、ちょうど1600年を挟む時期ごろに本土領監査審問官の性質に変化が見られ、それが本土領に関する知の集積から統治における執行力の強化というヴェネツィア政府の本土領統治に対する姿勢の変化に一致しているということが浮かび上がってきた。今後は、収集した史料の読解を進め、その成果を学会・研究会などで紹介した上で、論文として学術雑誌に投稿する予定である。
第3に、当初予定していた「17世紀前半ヴェネツィア共和国本土領農村における製粉税」という研究内容に関して、第2の研究内容と同時期に、国立ヴェネツィア文書館における現地史料調査を行った。その結果、利用する予定の史料が、1630年代以降の製粉税の直接税化という過程に対して、当初想定していた以上に密接に関連するものであり、本研究にとって大きな重要性を持っていることが明らかになった。したがって、今後、第1・第2の研究内容の遂行が終わり次第、本史料の読解に取り掛かり、本土領農村における納税者から見た課税の正当性に関して研究を深めていきたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
区分(2)とした理由は以下の3点である。
第1に、当初の計画に比べて、修士論文の学術雑誌への投稿が遅れているものの、3回の研究報告を経て、最新の研究成果の把握とその中での本研究の位置づけの再確認を行うことができた。また、本年度後半以降の執筆作業により、草稿はほぼ完成段階にあり、早期に投稿を行うことができる状態にある。
第2に、上記のように、最新の研究成果の把握と本研究の位置づけの再確認をしていく過程で、当初の計画にはなかった新たな研究課題を見出し、本研究の射程を時間的・空間的に広げることができた。
第3に、当初の計画において利用する予定であった1635年の製粉税に関する史料に関して、その作成の経緯が一切不明であったが、本年度の現地史料調査により、その作成の経緯を明らかにすることができた。その結果、本史料の利用に対する障害はほぼなくなり、今後の研究を進めるための基礎を整えることができたと言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
まず初めに、修士論文以来の研究内容の論文化を完了させ、次年度前半中に学術雑誌に投稿する。
次に、16-17世紀の本土領監査審問官について、2013年に刊行された任期末報告書、および本年度の現地史料調査の際に収集した委任状の2種類の史料の読解を進め、本土領監査審問官の性質の変化に関してより精密な議論を組み立てる。そして、10-12月ころを目処に、これらの研究成果を学会・研究会において報告する。その後、報告の際に得た意見・批判を踏まえて、本土領監査審問官に関する論文の執筆作業を始める。また、必要に応じて、1-3月ころを目処に、ヴェネツィアやヴェローナなどにおいて現地史料調査を行い、不足している情報の収集に努める。
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Research Products
(3 results)
