2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 明徳 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 航空交通管理 / 運航効率 / 軌道最適化 / 動的計画法 / 地上監視レーダデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
国土交通省では「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン」として「CARATS: Collaborative Actions for Renovation of Air Traffic Systems (将来航空交通システムの変革に向けた協調的行動)」という取り組みが実施されている.本研究の目的は,国内定期旅客便の飛行軌跡を最適軌道の観点から分析し,消費燃料および時間を定量的に評価することで運航効率向上の可能性を示すこと,および機体相互の位置関係を分析し安全性を統計的に評価する方法を導き,最適化した飛行の安全性を示すことである. 平成26年度は共同研究先の電子航法研究所より平成24年度に提供を受けた1日分の地上監視レーダデータを用いて,羽田空港に着陸する定期旅客便に対し軌道最適化分析を行った.具体的には,地上監視レーダにて記録された定期旅客便の航跡データに欧州航空航法安全機構により開発された機体性能モデルおよび気象庁発表の客観解析気象データを適用することで飛行状態を推定し,同時に動的計画法による軌道最適化を行い両者を比較することによって運航効率を定量化した.1日の到着便数の約40%である256便に対し3つの通過FIXおよび3機種に分けて解析を行なったところ,平均して燃料消費量では約360[kg],飛行時間では約200[秒]の節約が可能であるという結果が得られた.本研究において提案した,飛行状態の推定方法および動的計画法による飛行軌道最適化からなる運航効率の客観分析手法は九州大学において独自に開発されたものである.航空交通の状況による運航効率の低下を定量的に評価することができるため今後のCARATSの研究開発において役立つものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動的計画法による航空機の軌道最適化ツールを用いて東京国際空港に到着する航空機の1日分について解析し,混雑時に運航効率が低下していることを定量的に示し,国内および国外の学会で発表することができた.これらは独自の手法により初めて得られた結果であり,ドイツ航空宇宙センターおよび欧州航空航法安全機構の研究者より高い評価を受けた.最適軌道を実際の運航に利用しやすい軌道にするために機体の経路角まで考慮することを提案し,動的計画法を改良した結果を米国で開催された学会にて発表した.現在,国内研究の促進につながる重要な考え方やアイディアを学ぶという目的のもとドイツのミュンヘン工科大学に留学中であり,最適制御を研究するグループの一員となってドイツの研究者が使用する他の手法と主題の動的計画法を比較する研究を遂行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
日本全域を覆う地上監視レーダデータを用いた全機の軌道最適化分析および相互干渉分析については,平成26年8月に国土交通省航空局より数日分のレーダデータの提供を受け,現在研究室の学生が協力して解析を進めている.全機の相互干渉分析については引き続き共同研究者が担当する予定である. 複数機に対して干渉を考慮した最適化を行う場合,多くの状態量を扱う必要があり動的計画法による求解はきわめて困難であるため,複数機の同時最適化については,現在習得中であるGradient Based method(勾配法)により解決を図る.
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Research Products
(5 results)