2015 Fiscal Year Annual Research Report
宗教コミュニティにおける多言語使用:スタイルシフティングの視点から
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14J05172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 里香 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 社会言語学 / 移民 / バイリンガリズム / 言語人類学 / 多言語使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
【国内の南アジア地域研究者との交流】 日本南アジア学会博士論文発表会(2015年4月)、日本南アジア学会研究大会(2015年9月)において、在日パキスタン人児童の多言語使用および、これまでのフィールドワークから得られた言語・教育に関する意識に関して発表を行った。 【国外における研究交流-欧米】 2015年6月 国際学会Sociolinguistics of Globalizationでは、香港における南アジア系コミュニティに属する児童の言語使用に関する知見に関して議論した。また、日本における単一言語規範イデオロギーに関する研究発表を行った。アメリカ言語学会夏期講座にて、言語人類学ならびに社会言語学に関する議論を行うことができた。また、「ですます体」に関するポスター発表(査読無し)を行った(2015年7月)。 【パキスタンにおけるフィールドワークおよび研究交流】2015年9月には、パキスタンにおいて在日パキスタン人宅でフィールドワークを行ったほか、イスラーマバード市内の2研究機関において、教員および大学院生に対して講演を行った。2015年10月には、第一回国際パキスタン言語学会にて研究発表を行った上、計画にあったパキスタンの社会言語学の第一人者であるターリク・ラフマン氏に会い、パキスタンにおける多言語状況に関して疑問点を明らかにすることができた。 【研究成果の発表】 2015年9月に、在日パキスタン人の言語接触に関する査読付論文が刊行された。2016年2月に、在日パキスタン人児童の多言語使用に関する単著が刊行された。2016年3月、在日パキスタン人児童のスタイルシフトとその宗教的アイデンティティの表出に関する発表を社会言語科学会研究大会において行った。 【その他】 在日パキスタン人関連イベント2件のビデオを収集することができた。また、言語人類学に関するネットワーク形成と、定期的な研究会の運営を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年に引き続き、複数の主要インフォーマントの国外転居により、当初の計画にあった言語規範に関する、複数人でのディスカッションのデータがとれなかった。この問題に関しては、研究代表者が国外転居先に赴き、単独での半構造化インタビューの形で情報を得ることによって補ったが、複数人のディスカッションによって生まれるダイナミクスを利用した情報量を得ることができなかった。 パキスタンの言語学会に赴いたが、現在、パキスタン内のコードスイッチングやスタイルシフト、または在外パキスタン人の動向に関心のある研究者がほとんどいないことがわかった。人文学への助成が減る中、言語学科の閉鎖危機といった課題に直面する中、英語教育または計算機言語学といった応用言語学に関する大規模で国際的な学術交流に関心があるようであった。そのため、先方にとっても魅力のあるような共同研究として、特別研究員としての課題の範囲を超えた、より大きな企画として計画をし直す必要性に迫られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定されていた複数人によるディスカッションやアンケートに関しては、オンラインアンケートないしオンライン掲示板によるディスカッション、またはオンラインインタビューの可能性をさぐりたい。
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Research Products
(10 results)