2014 Fiscal Year Annual Research Report
トリアゾールをジアゾ前駆体とした含窒素化合物の合成法の開発
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14J05174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船越 雄太 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | トリアゾール / ロジウム / ヘテロ環合成 / 含窒素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
末端アルキンとアジドから容易に調製されるトリアゾールに遷移金属触媒を作用させて得られるα-イミノメタルカルベン種を用いて、含窒素化合物の簡便かつ環境負荷の少ない合成手法の開発を目的に検討を行っている。まず当初の計画に従い、N-スルホニルトリアゾールとベンゼン環の分子内[3+2]付加環化反応を用いて、麦角アルカロイド群(リゼルグ酸)の合成中間体として用いられるUhleケトンの合成を検討した。ロジウム触媒の存在下で、4-(3-フェニル-3-((トリエチルシリル)オキシ)プロピル)-1-トシル-1,2,3-トリアゾールを、トルエン中80℃で加熱攪拌し、ジヒドロインドール誘導体を得たのち、TBAFを用いてトリエチルシリル基を除去した。その後、二酸化マンガンで芳香化およびアルコール部位の酸化を行い、水酸化カリウムのエタノール溶液中で加熱攪拌することで目的のUhleケトンを4ステップ50%収率で得た。 次に、N-スルホニルトリアゾールとアルデヒドが反応することに着目して、求核剤としてホルミル基を有するジメチルホルムアミドを用いて検討を行った。ロジウム触媒の存在下で、1-メシル-4-フェニル-1,2,3-トリアゾールとジメチルホルムアミドのクロロホルム溶液を60℃で1時間加熱攪拌したところ、エナミノン誘導体が収率よく得られた。得られたエナミノン誘導体は複素環化合物の合成中間体として有用であり、ピリミジン、ピラゾール、イソキサゾール誘導体へと高い収率で変換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、N-スルホニルトリアゾールとベンゼン環の分子内[3+2]付加環化反応を用いて、麦角アルカロイド群(リゼルグ酸)の合成中間体として用いられるUhleケトンの合成を行い、研究成果の一部を、アメリカ化学会誌にて報告した。また、ロジウム触媒の存在下で、1-メシル-4-フェニル-1,2,3-トリアゾールとジメチルホルムアミドのクロロホルム溶液を60℃で1時間加熱攪拌すると、エナミノン誘導体が収率よく得られることを見出し、研究成果の一部を、英文論文として報告した。 これらの成果が得られたことから,本研究は概ね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
含硫黄化合物が高い求核力を有していることに着目し、求核剤としてチオエステルを用いたところ、N-スルホニルトリアゾールから窒素分子の脱離を経て生成するα-イミノロジウムカルベン種の1,3-挿入が進行してβスルファニルエナミドが高い収率で得られることを最近見出した。このようなロジウムカルベン種とチオエステルの反応はいままで報告例がなかったため、この反応についてさらに検討を行う。 また、求核剤としてチオノエステルを用いると、α-イミノロジウムカルベン種とチオノエステルのチオカルボニル部位が[3+2]付加環化し4-チアゾリン誘導体が収率よく得られ、4-チアゾリン誘導体を酸性条件に伏すとチアゾール誘導体が高収率で得られることも見出した。そこで、チアゾールが有機材料として有用な骨格であることに着目し、本反応を用いてチアゾール環を有するオリゴマーを合成し、物性の評価を行う予定である。
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Research Products
(2 results)