2014 Fiscal Year Annual Research Report
PENDRED症候群患者由来のiPS樹立とそのPENDRIN機能解析
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14J05202
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
細谷 誠 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 疾患iPS細胞 / 難聴 / 内耳 / PENDRED症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pendred症候群患者由来の疾患特異的iPSの樹立:当初の予定通り今回我々は、国立病院機構東京医療センターとの共同研究として、同センターより患者採血検体の供給を受け血球細胞に対してエピソーマル法で遺伝子導入を行いPENDRED症候群特異的iPS細胞の樹立を慶應義塾大学岡野研究室との共同研究で行った。すでに3患者から3ラインずつ計9ラインの樹立を終えており、正常核型、未分化細胞マーカー発現、多分化能についても確認を終えている。 正常対象及び患者由来iPS細胞の分化誘導:PENDRED症候群はSLC26A4遺伝子の変異により生じる異常PENDRINが原因であると考えられており、内耳における疾患iPS細胞を用いた病態生理解明を行うためには、内耳PENDRIN陽性細胞の誘導が必須であった。今回我々は当科における独自の内耳のPENDRIN陽性細胞の誘導に成功した。本方法では、まず、内耳前駆細胞を誘導し、そこからさらに分化誘導することにより内耳PENDRIN陽性細胞を得ることに成功した。PENDRINの発現を免疫細胞染色、PCR法およびWB法で確認しており、その他の内耳特異的マーカーの発現も確認している。本誘導方法は、ほぼ100%の細胞がPENDRINを発現することがわかり、申請書で記載したレポーター作成は不要であった。 正常対象および患者由来iPS細胞から誘導された内耳PENDRIN陽性細胞の比較検討:前述の方法で、正常対象から誘導されたPENDRIN陽性細胞と患者iPS細胞由来のPENDRIN陽性細胞の比較検討を行った。この結果、後者には前者には見られない細胞レベルでのストレス脆弱性が認められた。この表現型はこれまでのPENDRED症候群のモデルマウスでは報告されておらず今後さらなる分子生物学的検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定されていた、疾患iPS細胞の樹立と内耳PENDRIN陽性細胞の誘導法の確立については、ほぼ終えており、また誘導法の高効率化に成功したためレポーター作成は不要になった。病態生理の解明を目指した疾患解析はまだ達成途中であるが、新規病態生理解明に結びつく新規ストレス脆弱性も見出しており、計画初年度を終えた段階での達成度としては当初の計画以上と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策であるが、正常対象と患者由来iPS細胞から誘導したPENDRIN陽性細胞の表現型解析をさらに進めていく方針である。この差をより明確に示すために患者由来iPS細胞の遺伝子異常をゲノム編集技術を用いて修復し、変異部分以外はすべて患者iPS細胞と同じゲノムを持つISOGENIC LINEの樹立も行う予定である。このラインにおいて前述の表現型が患者型でなく正常対象と同じになれば、今回見出した新規表現型が疾患に伴う変異に由来することが示せ、疾患解析の大きな力となる。また、同時にこのストレス脆弱性を軽減するような薬剤スクリーニングについても取り組んでいく方針である。
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Research Products
(10 results)