2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の適応を引き起こす筋収縮の時間と強度の最適パターンの解明
Project/Area Number |
14J05223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 太佑 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | C2C12 / 骨格筋 / 電気刺激 / 筋収縮 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
C2C12への筋収縮による代謝物の応答とシグナル分子のリン酸化の応答 myotubesに分化させたマウス骨格筋由来のC2C12細胞に対して平成26年度に構築した電気刺激をおこなった。電気刺激は、50V、3msのパルス刺激を2Hz (低周波数)、20Hz (高周波数)の2種類60分間おこなった。サンプリングタイムポイントは0、2、5、15、30、60分の刺激中と刺激後1、3、6時間後とした。 代謝物の網羅的な解析は、capillary electrophoresis-mass spectrometry (CE-MS)を用いて、曽我朋義教授(慶応義塾大学先端生命科学研究所)との共同研究のもとおこなった。その結果、およそ200代謝物が同定された。さらに、解糖系、ペントースリン酸経路の代謝物は20Hzの筋収縮中にも増加するが、20Hzの筋収縮後に大きく増加することがわかった。また、TCA回路の中間代謝物であるMalate、Fumarateの濃度は、2Hz、20Hzの刺激中に一過的に増加することが明らかとなった。 代謝物の検討と同様の細胞サンプルを用いて、ウエスタンブロッティング法により、シグナル分子のリン酸化を測定した。その結果、AMPK経路のpAMPK、pACCは2Hz、20Hzの骨格筋収縮によって一過的に増加することが明らかとなった。一方で、pERK、pp38、pAkt (Thr308)は2Hzでは変化せず、20Hzの筋収縮後に大きく増加することが明らかとなった。 以上の結果について、2016年2月にオーストリア、インスブルックでおこなわれたThe Advanced Lecture Course on Systems Biologyにて、ポスター発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、昨年構築したC2C12細胞に対する電気刺激による筋収縮の実験系を用いて、データを取得することであった。シグナル分子を中心とした数理モデルを構築するために、オミクス解析を用いた分子と代謝物の網羅的な解析をおこない、主要な分子、代謝のネットワークの探索をおこなう必要がある。これにより、刺激強度の違いが、シグナル伝達や代謝の制御にどのような違いをもたらしているのか明らかにすることができる。これまでに、電気刺激によるシグナル分子と網羅的な代謝物の時系列データを取得した。現在は、そのデータ解析をおこなっており、関連の深い代謝物とシグナル分子の組み合わせの抽出を試みている。 以上のように、データの取得、解析は順調に進んでいることから、研究は順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、異なる筋収縮強度に対する代謝物とシグナル分子の時系列変化のデータを取得した。今後は、代謝物とシグナル分子との間にどのような関連がみられるのか明らかにする。一方で筋収縮は、代謝物の濃度、シグナル分子の活性を変化させるだけではなく、それらの変化を通じて、遺伝子発現を制御していると考えられる。今後は、刺激後の遺伝子発現に着目して、強い強度の筋収縮と弱い強度の筋収縮で遺伝子発現がどのように違うのか明らかにする予定である。
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Research Products
(7 results)