2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05259
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 佑太朗 広島大学, 先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 偏光 / 連続測定 / 量子統計 / 結合確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、連続測定で取得できる情報を結合確率で取扱い、その際測定の反作用も考慮して再構成したその結合確率が量子論の予測する複素数の値をとることの検証及び、その物理的意味合いの追究である。偏光を対象に干渉計を用いた連続測定装置を実装し、測定に依存しない複素結合確率分布を得る。 平成26年度は、複素結合確率分布を実部と虚部双方同時に取得可能な実験装置の開発に取り組み、任意の測定の強さにおける連続測定の結果、どのような測定の強さにおいても同様の初期状態を反映した複素結合確率分布が再構成できることを概ね示すことができた。残りの課題は、光学素子を反射するときに生じる位相の系統誤差の適切な処理である。これまでに実験装置を構成する全ての光学素子についてその偏光特性を評価し、いずれも予想していたより位相の系統誤差が大きく、組み合わせに注意して配置しなければならないことがわかった。 また、複素結合確率の実部のみを取得する実験装置を用いて、測定の不確定性の解析を行った。小澤の不等式で定義される測定誤差を最小にするように解析すると、連続測定によって測定誤差を下げられるということ。それから観測量を固有値に限定せずに解析すると、測定誤差は理想的にはゼロになることがわかった。それから、もつれ合いの相関を利用して非可換量の測定誤差の相関を検証する構想を得、その実証のためにもつれ合い光子対発生源の開発に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複素結合確率の検証について、当初は干渉計の光路が最終的に合流する地点にあるビームスプリッターの偏光特性を改善すれば実験装置の系統誤差は軽減すると考えていた。しかし、そもそもビームスプリッターの偏光特性、特に反射側の位相の制御は特注でも対応が難しいことがわかり、測定方法を工夫することで解消するしかない状況に陥ったからである。くわえて、ビームスプリッター以外の光学素子も位相の系統誤差が大きいことが調べる中でわかり、補正を含めた光学素子の配置や調整を注意深く行わなければならないことが判明したからである。いずれも系統誤差の原因は特定できたので、次年度へつながる成果ではある。
|
Strategy for Future Research Activity |
反射の偏光特性を精密に理解することができたので、現在の実験装置の延長線上で実装する以外の選択肢として、新たに小型のマッハツェンダー干渉計を少ない光学素子で組み上げて実装することも視野に入れている。いずれにせよ初期状態を表す複素結合確率分布の再構成を最優先とする。位相特性については製品個体差もあることがわかっているため、これまでに調べたデータを基に最適な組み合わせを模索する。 もつれ合い光子対を用いた測定誤差の相関の検証は、それ自体が複素結合確率の物理的意味合いに迫るものであるだけでなく、今後の文脈依存性や局所性の検証実験に利用できる重要な装置である。
|
Research Products
(9 results)