2014 Fiscal Year Annual Research Report
人間行動センシング時系列データのための知識探索型ビッグデータ解析基盤の研究
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14J05331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩澤 有祐 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 障害者支援 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネット / 行動認識 / ウェアラブル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のスマートデバイスやリストバンド型のセンサの普及に伴う人間行動データのセンシング技術を背景に、計測した人間行動の解析技術の解析や応用が重要な研究テーマの1つとなっている。本研究課題は1.人間行動センシングデータの解析技術の開発、2.移動行動センシングを応用した路面アクセシビリティマップの開発の2つの研究目的から構成される。これら2つの実現を通して、行動センシングデータのための解析技術基盤の開発と実用的な障害者支援アプリケーションの開発を同時並行的に行う。研究目的の達成に向け、本年度は次の研究を行い成果を得た。 R1: 車いすセンシング加速度データへの表現学習の応用 加速度センサによる車いすセンシングデータへの表現学習の応用を行い、Deep Learningの枠組みが行動認識データにとっても有用であることを示した。具体的には、Deep Learningの手法の1種であるConvolutional Neural Network(CNN)をベースにした解析アーキティクチャを提案し、iPod touchに搭載された3軸加速度センサで計測した9名分の車いすセンシングデータで有用性を検証し、経験的に設計した特徴量と比較して高い段差認識精度を示すことを確認した。検証の際にはLeave One Subject Out検定と呼ばれる方法を利用し、獲得した特徴表現が新規ユーザのデータに対して有効であることを確認した。 R2: 複数人の位置情報付き加速度データを利用した路面推定手法の提案 複数周分のデータを利用した路面状況の推定手法を提案し、国内学会で発表した。データセットには上記と同様のデータのうち6名の同一経路18周分のデータを利用した。結果として車いす移動にとって障害となる坂,縁石,点字ブロックをそれぞれ、再現率1.0,0.75,0.42で、適合率は同様に1.0,0.89,0.72の精度で抽出できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究目的実現のため、本研究目的に対して(1)Deep Learningの手法を得ることで経験的に設計した特徴表現より良い表現を獲得できること、(2)複数名分の行動データを集約利用することで段差や坂を十分な精度で抽出できること、の2点を示した。特に特徴表現は今回(2)で作成した応用アプリケーション例のみならず、データの可視化や様々な分類などのビッグデータ解析の基礎になる重要な基盤技術である。これらの理由から、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2つの方針で研究を推進していく予定である 1. 深層学習を利用したユーザの多様性を考慮した分類モデルの提案 スマートフォンやウェアラブルデバイスを利用して計測した行動センシングデータから行動や環境情報をマイニングするためには、ユーザごとに異なる行動特性の違いをモデル化する必要がある。H27年度は、H26年度に行ったDeep Learningを使った手法を発展させ、新規ユーザに対してより頑健な特徴を捉えるための手法の提案を行う。評価は、スマートフォンで計測した複数人の車いす行動センシングデータを利用して行い、「歩いている」「走っている」といった行動や「段差」「坂」等の路面環境の分類精度によって評価する予定である。また、WWWやAAAIなど人工知能やウェブに関する国際会議への投稿、ジャーナル論文化を行う。 2. 実環境での中大規模な行動計測センシングデータの取得と解析 現在数名規模のデータを、数十名の中大規模データまで拡張し提案手法の汎用性について検討する。それに向け、H26年度に作成した技術をWebシステムとして公開し、ボランタリなデータの取得を目指す。また、同時並行的に実験によるデータの取得を行う。取得した中規模なデータをもとに、より多くの人のデータがある場合や多様な環境でのデータが計測できている場合の提案システムの有効性と問題点を検証する。また、障害者支援の国際会議ASSETSやUbicomp、WWWへの投稿を行う。
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Research Products
(1 results)