2014 Fiscal Year Annual Research Report
伝搬遅延および持続的外乱に関する制御問題に対する作用素論に基づく解法
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14J05353
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 正勳 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 伝搬遅延 / 持続的外乱 / スペクトル半径 / L∞誘導ノルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、``伝搬遅延および持続的外乱に関する制御問題に対する作用素論に基づく解法''というタイトルのもとで研究を行っている。この研究課題における実績は以下のように2つに分けて説明することが可能である。
1. 伝搬遅延が存在する制御システムが安定かどうかを厳密に判別するために、まずは、liftingというアイディアを通して伝搬遅延を有する制御システムに関するmonodromy operatorというものを導出した。このmonodromy operatorのスペクトルという量が伝搬遅延を有するシステムの安定性と密接に関係することを示した。より具体的には、monodromy operatorのスペクトル半径が1未満であることが、伝搬遅延を有する制御システムが安定であるための必要十分条件であることが示された。この結果を通して、伝搬遅延を有するシステムが安定かどうかを厳密に評価することが可能となった。
2. 持続的外乱に対する制御システムの性能解析を行うためには、数学的な取扱いが厄介であるL∞誘導ノルムというものを計算しなければならない。しかし、このL∞誘導ノルムを厳密に計算することは非常に難しいために、既存の研究結果においては、高速サンプリング/高速ホールドというアイディアを用いた近似的な手法しか提案されていなかった。これに対して本研究では、高速liftingというアイディアを通して、任意の精度でL∞誘導ノルムを計算することが可能になった。この結果を通して、ある制御システムが持続的外乱に対してどれぐらいの性能を持つのかを厳密に評価することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
伝搬遅延および持続的外乱という2つのテーマについて、平成26年度は一つのテーマのみにおいてある程度の成果を達成するのが本来の目的であったが、2つのテーマ両方において所望の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.伝搬遅延を有して持続的外乱が加わる制御システムに対する安定解析を行いたい。 2. 伝搬遅延が制御システムのL∞誘導ノルムへ及ぼす影響を調べたい。 3. 持続的外乱の影響を最小にするような制御器設計について取り組みたい。
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Research Products
(5 results)