2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗癌剤創製を指向した最強レベル細胞毒性物質アンフィジノライドNの全合成研究
Project/Area Number |
14J05399
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福山 圭 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | アンフィジノライドN / マクロライド / アルドール反応 / 抗がん剤シーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従いアンフィジノライドNを各ユニットに分割したブロックAの合成に着手した。小林不斉アルドール反応を用い標的とするC3ユニット付加体を構築した例は少なく、末端の酸化段階や保護基の異なる保護アルデヒドについての知見は知られていない。そこで他の基質について良い結果が得られている低温(-78 ℃)、ケテンN,O-アセタールと同量の塩化チタンを用いる条件を適用し、数種の保護アルデヒドとの小林不斉アルドール反応を検討した。5種類のの保護アルデヒドについて種々の条件を検討したがすべて複雑な混合物を与えその中に脱保護体由来と推定されるピークを認めた。これは反応のいずれかの段階において塩化チタンの強いルイス酸性により望まない脱保護反応が進行した結果であると推測される。文献既知の組み合わせでは目的とする付加体を中程度の収率で得ることが出来たものの文献記載の通り低立体選択(d.r.= 3:1)かつ分離不能なジアステレオマー混合物を得た。 以上の結果より今回適用した条件下における小林不斉アルドール反応によるC3ユニット付加体の構築は困難であると判明した。今後は信頼性の高いEvansらの手法を活用しブロックAを構築する予定である。 一方、ブロックCについても検討した。トランスTHF環構築にエポキシドを含むルートを設定した。既知法に従い市販の吉草酸アルデヒドより4工程でラクトン体とし水酸基のメシル化とメタノリシスによりエポキシエステルに、DIBAL-Hによる還元を経てエポキシアルデヒドとした。得られたエポキシアルデヒドにビニロガス向山アルドール反応を検討したが目的物を得る事が出来なかった。これはルイス酸によりエポキシ基が分解したためと推測し塩基条件下での反応を検討したところ目的とするケトエステルを得ることに成功した。不斉アセタール保護体を現在調製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な競争が予想されるアンフィジノライドNの全合成に向けて意欲的に取り組んだ。今年度は標的分子の3つのブロックのうち,ブロックAとブロックCの合成の検討を行った。最も合成が困難と思われるブロックAについては,不斉小林アルドール反応を用いる短工程合成ルートの開拓を目指したが,実現が難しいことが判明したため,現在は,工程数は増えるがより確実なEvansアルドール反応を経由する合成経路に切り替えて合成を進めている。ブロックCについては,ルイス酸に体する中間体エポキシアルデヒドの不安定性のため望むビニロガス向山反応は進行しなかったが,塩基性条件下でのケトエステル単位の導入は可能であることが分かり,その不斉反応化に向けて,反応ユニットの調製を行っている
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Strategy for Future Research Activity |
勤勉にステディーに実験に取り組んでおり,成功へのきっかけはつかめたので,今後の急速な研究進展が期待できる。
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Remarks |
毎日新聞・共同通信社・産経ビジネス、その他多数掲載
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Research Products
(5 results)