2014 Fiscal Year Annual Research Report
ジチオジケトピペラジン類の独創的合成法の確立と新規抗がん剤シーズの開発研究
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14J05498
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒木 太一 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | MPC1001B / 全合成 / 抗がん活性 / ジチオジケトピペラジン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロリンユニットに対して、6または7員環ユニットが縮環した構造を有するジチオジケトピペラジン類は、抗がん活性などの有用な薬理活性を示す化合物が多いことから、創薬リード化合物として非常に重要である。本研究の目的は、6員環ユニットと7員環ユニットを有する類縁体のいずれの合成も可能にする合成経路を確立し、その後、効率的な構造活性相関研究を行うことで新規抗がん剤シーズとなる誘導体を見出すことである。今年度申請者は、7員環ユニットを有するMPC1001の合成研究を行った。検討の結果、MPC1001の重要骨格である15員環構造の構築に分子内アルドール反応が有効であることを見いだした。また、不安定なジチオジケトピペラジン骨格の構築にも成功し、MPC1001の類縁体であるMPC1001Bの世界初の全合成を達成した。さらに、MPC1001を全合成するための予備的検討を行い、本化合物を合成する上での重要な知見を得た。MPC1001は、前立腺がん細胞に対して既存の抗がん剤を上回るほどの増殖抑制作用を示すため、本化合物の合成経路が確立できたことは、新規抗がん剤を開発するうえで重要な成果である。今後は、確立した合成経路を用いる誘導体合成により、天然物よりも強力な活性を有する化合物の創製が期待される。 また、申請者は米国ペンシルバニア大学化学科Amos B. Smith, III教授の研究室へ留学し、研究テーマに関する情報収集も行った。Smith研では天然物の合成研究に加えて、抗がん活性を有する天然物の構造活性相関研究やHIVウイルス阻害薬の研究も行われている。そのため、報告会や担当研究者とのディスカッションを通して、新規抗がん剤シーズの開発研究を行う上での有用な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画は、6員環ユニットと7員環ユニットを用いて、Acetylapoaranotinおよび MPC1001の全合成を達成することであった。本年度、MPC1001の全合成達成には至らなかったが、MPC1001の類縁体であるMPC1001Bの世界初の全合成を達成した。さらに、MPC1001の全合成まで残り1つの官能基導入を残すのみである。Acetylapoaranotinに関しては、これまでの合成研究の結果から、すでに合成の指針が定まっている。そのため、短期間での合成が可能であると考えている。以上の理由により、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、まず、MPC1001Bに直接ヒドロキシ基を導入することでMPC1001の全合成を達成する。つづいて、すでに合成法を確立している6員環ユニットと7員環ユニットを用いて、acetylapoaranotinを全合成する。その後、acetylaranotinやacetylapoaranotin、MPC1001などの天然物および合成中間体の活性評価を行ったのち、構造活性相関研究に展開する。
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Research Products
(4 results)