2015 Fiscal Year Annual Research Report
デリダ哲学の現代フランス現象学における位置づけの研究--出来事の概念を指標として
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14J05556
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長坂 真澄 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | マルク・リシール / 無限 / カントール / ラスロ・テンゲィ / 現象学 / 超越論的仮象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「出来事」の概念を軸に、デリダ哲学を現代のフランス現象学者たち(フランク、マリオン、リシール)の思想と対比することにより、デリダ哲学が今日持ちうる意味について探究するものである。なかでも本研究の大部分を占めたのは、リシールの思想からのアプローチであり、とりわけ本年度においては、リシールが考察する超越論的仮象としての「無限」の問題系が、「出来事」の概念へといたる導きの糸となった。 デリダにおいては「無限」の議論は多岐に渡るが、体系的に整理されているわけではない。それゆえ、より体系的であるリシールの「無限」にまつわる議論が、問題を明確化するために大きく役に立った。なお、この議論の検討にあたっては、リシールを足掛かりに現象学における「無限」の問題を論じる、ラスロ・テンゲィの著作『世界と無限性――現象学的形而上学の問題へ向けて』から多くの示唆を得た。 本研究の取り組みにより、デリダとリシールが共通して取り組む「無限」の問題が、様々な哲学史的背景から連結的に理解されうることが明らかになった。より具体的には、テンゲィの提出したパースペクティヴにより、「無限」の問題を、アリストテレス、クザーヌス、カントールを経て、デリダ、リシールに代表される現代の哲学者へといたる問題として捉えることが可能となった。さらに、リシールのカントール読解の研究により、「無限」の問題を、リシャール、ポワンカレ、ラッセル、ゲーデルによる議論の変遷の中に位置づけ、それを背景に、デリダの「無限」をめぐる考察を検討することが可能となった。かくして、本年度の研究においては、「出来事」の概念の探究が要求する、「無限」の問題を、様々な角度から考察することができた。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(9 results)