2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性足潰瘍予防のための歩容を考慮した新たなフットウェアの開発と臨床応用
Project/Area Number |
14J05726
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 歩 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病性足潰瘍 / 胼胝 / 圧力 / せん断応力 / 歩容 / 看護工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性足潰瘍を引き起こす胼胝は、局所に過剰な機械的応力が繰り返し加わることで発症する。それゆえに、胼胝を保有する患者においては、胼胝部を適切に免荷し、潰瘍化を予防することが重要である。局所の機会的応力として圧力とせん断応力が考えられるが、靴の中の特定の部位のせん断応力を測定することは今まで技術的に難しかった。また、胼胝部位にかかる高い圧力とせん断応力を改善するためにはどのような身体の動きと関連しているかを明らかにする必要がある。 そこで、歩行中の下肢の動きと靴の中の胼胝部位の圧力とせん断応力を同時測定する測定システムを開発し、測定システムの信頼性と妥当性の確認を行った。本年度は臨床での調査を行うための土台作りを行った。まず、臨床経験を活かし、臨床現場で患者に対し安全に使用できるという基準で使用するセンサの選択から行った。実際にセンサを使用し、通常の使用方法では壊れやすいという問題やサイズの問題があることがわかったが、臨床現場で使用できるセンサであることを重視してこのセンサの問題点解決に取り組み、歩行中の下肢の動きと靴の中の胼胝部位の圧力とせん断応力の測定方法を確立した。更に、その測定システムの信頼性と妥当性を検証し、臨床で使用できることを示した。信頼性の検証では、10名の非糖尿病者で測定データの一貫性と、センサを装着し直すことによる測定データの安定性を確認した。妥当性の検証では、12名の非糖尿病者で圧力とせん断応力が高く測定されると考えられる状況と通常の状況との比較を行い、測定データの妥当性を確認した。 測定システムを使用し、非糖尿病者10名において、下肢の動きとせん断応力との関係が確認出来てきている。今まで測定出来なかった臨床で患者自身の靴の中で胼胝部位にかかるせん断応力を測定できるようになり、今後糖尿病性足潰瘍予防のための新規性の高い知見が得られると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病性足潰瘍予防に向けた工学的手法に基づく歩容改善法の確立を目指しており、歩容改善法の根拠となるデータを測定するためのシステム作りができたため。また、非糖尿病者ではあるが、高いせん断応力を改善するためにどのような歩容改善をすべきか、その関連が検討出来てきているため。
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Strategy for Future Research Activity |
4月よりこの測定システムを使用し臨床で糖尿病患者を対象に調査を開始している。歩容改善法の検討に加え、胼胝の有無による圧力・せん断応力の検討も行っていく予定である。工学的手法により行われる臨床での調査により、糖尿病性足潰瘍予防のための新規性の高い知見が得られると考えられる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Association between Washing Residue on the Feet and Tinea Pedis in Diabetic Patients2015
Author(s)
Takehara K, Amemiya A, Mugita Y, Tsunemi Y, Seko Y, Ohashi Y, Ueki K, Kadowaki T, Oe M, Nagase T, Ikeda M, Sanada H.
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Journal Title
Nursing Research and Practice
Volume: 2015年
Pages: 872678
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] 糖尿病患者の糖尿病用治療靴作製と着用継続に関するプロセス2015
Author(s)
山田案美加, 大江真琴, 大橋優美子, 雨宮歩, 高野学, 野口博史, 玉井奈緒, 西澤知江, 植木浩二郎, 門脇孝, 森武俊, 真田弘美.
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Journal Title
看護理工学会誌
Volume: 2巻1号
Pages: 15-24
Peer Reviewed
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[Journal Article] Screening for tinea unguium by thermography in older adults with subungual hyperkeratosis2014
Author(s)
Miura Y, Takehara K, Nakagami G, Amemiya A, Kanazawa T, Kimura N, Kishi C, Koyano Y, Tamai N, Nakamura T, Kawashima M, Tsunemi Y, Sanada H.
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Journal Title
Geriatrics & Gerontology International
Volume: 2014 Oct 14
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 糖尿病患者の足部筋力と歩容の関係:足底圧・せん断力・腰部角速度同時測定による検証2014
Author(s)
高橋美奈子, 野口博史, 大江真琴, 雨宮歩, 高野学, 大橋優美子, 倉持江美子, 村山陵子, 植木浩二郎, 門脇孝, 森武俊, 真田弘美
Organizer
第2回看護理工学学会学術集会
Place of Presentation
大阪大学大学会館 (大阪)
Year and Date
2014-10-04 – 2014-10-05
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[Presentation] 中国浙江省における糖尿病患者の足部実態調査2014
Author(s)
大橋優美子, 大江真琴, 飯塚陽子, 雨宮歩, 山田案美加, Wang Yiwen, 大倉文子, Haiqin Sun, Hongwooi Thor, 井上享子, 村山陵子, 植木浩二郎, 門脇孝, 真田弘美.
Organizer
第57回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル、ホテルNCB、堂島リバーフォーラム (大阪)
Year and Date
2014-05-22 – 2014-05-24
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[Presentation] 中国浙江省における糖尿病患者の服薬状況調査及び服薬指導実施報告2014
Author(s)
井上享子, 李花, 孫海琴, 大橋優美子, 大江真琴, 雨宮歩, 山田案美加, Wang Yiwen, 大倉文子, 國井大輔, Thor Hong Wooi, Hua Yanyin, Fu Jian, 飯塚陽子, 中村幸一, 野坂和男
Organizer
第57回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル、ホテルNCB、堂島リバーフォーラム (大阪)
Year and Date
2014-05-22 – 2014-05-24
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[Presentation] 中国糖尿病の現状および日本式糖尿病診療サービスの中国展開に関する有用性の調査研究2014
Author(s)
飯塚陽子, Yiwen Wang, 倉本恵子, 大倉文子, 白川忍, Haiqin Sun, Hongwooi Thor, 大橋優美子, 大江真琴, 雨宮歩, 山田案美加, 井上享子, 杉山瑞樹, 菅原正純, 北野選也, 國井大輔, Li Wei, Yuquian Bao, Yanyin Hua, Jian Fu, 真田弘美, Dongsheng Hung, Weiping Jia, 植木浩二郎, 門脇孝
Organizer
第57回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル、ホテルNCB、堂島リバーフォーラム (大阪)
Year and Date
2014-05-22 – 2014-05-24