2015 Fiscal Year Annual Research Report
PIVとCFDを適用した高層建築物周囲の非定常乱流生成素過程機構の解明
Project/Area Number |
14J05832
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 幹 九州大学, 総合理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 時系列PIV / 風洞実験 / 都市キャニオン / 非定常乱流場 / 都市環境 / 都市の換気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市内の建築物周囲に生ずる乱流場の特性を明らかにすることを目的として、これまで都市環境工学分野で例の少ない連続光(Continuous Wave)を使用した時系列PIV (Time-Resolved PIV, TR-PIV)による風洞実験を行ってきた.本年度は2次的粗度を有する2次元ストリートキャニオン建物周辺に発生する乱流場の特性を調査するとともに,昨年度から継続して実験手法の改善や精度向上のための解析手法の模索などにも取り組んできた。本年度の研究結果のうち,重要なものとしては以下があげられる. [1]キャニオン内外換気効率について 建物高さにおける鉛直方向速度成分の水平方向分布を指標として、キャニオン内の換気特性に対する庇の影響を議論した。バルクな視点から換気量の評価を行い、キャニオンの換気効率に対する庇の影響を定量的に評価することにも成功した。さらに、2点相関法を用いてキャニオン周囲の大規模乱流構造の大きさを推定し、庇を取り付けた場合のキャニオン換気メカニズムの変化の物理的要因が、大規模乱流組織構造の変化であることを突き止めた。これは、都市の気流場の性質をメソスケールで表現するパラメータの変化要因を、建物スケールの気流構造の変化に求めたものであり、TR-PIVによって得られる実験データをフル活用した例と言える。 [2]スパン方向空気混合の強さについて PIVで取得できる2次元速度データを応用し、非定常乱流場の3次元的な性質に関する考察を行った。本研究のTR-PIVで取得できる非定常乱流場の連続的な時間変動データを統計的に処理することで、本来PIVでは考察することのできないレーザーシート面外方向の気流混合強さを推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度に継続し,これまで都市機構分野で用いられることが少なかった幾何形状の都市モデル周辺の非定常乱流場について,時間平均気流構造,乱流統計量の物理的特性,2次的粗度が都市の換気量に及ぼす影響,換気量の増減の背後にある乱流組織構造の変化などを明らかにすることができた.また昨年より継続して行っているTR-PIV実験システムの精度向上について,すでに学術的な考察に耐えうるだけのデータの取得が可能になり,本研究が当初の目的としていた高層建築物周囲の非定常乱流場を高精度に計測する準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
2次的な粗度を持つ2次元ストリートキャニオンに関して,抗力計測,LDAによる速度プロファイルの計測など追加の実験を行い,TR-PIVの結果を補足するデータの取得を行う.また高層建築物が群立する都市を模擬した3次元モデルを用いた実験も行う.既往研究は低層建築物と高層建築物の建物周辺の気流場の構造の違いをバルクな視点から考察しているが,本研究ではTR-PIVを用いて建物周辺の気流場を高い時空間解像度で計測し,既往研究に比べより詳細な解析を行う.
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