2014 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS 2軸力センサを用いた局所滑りの発生メカニズムの解明
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14J05877
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
NGUYEN THANHVINH 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 液滴 / 滑り / MEMS力センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目標のうち、液滴が滑る際に剛体基板に及ぼす力を直接計測できる2軸力センサを設計・製作した。また、水滴がセンサ上を滑り落ちるとき、垂直方向の力(圧力)と水平方向の力(せん断力、摩擦力)の計測を行い、その計測結果を解析することにより、水滴と基板との接触面での力分布を算出した。 試作したセンサは薄いシリコン構造とその中央に配置されたマイクロピラーから構築されている。マイクロピラーに働く圧力とせん断力は、計測されるシリコン構造の抵抗変化率から算出可能である。センサのサイズは数十μmであり、数μLの液滴と比べて十分小さいため、液滴の滑りへの影響が無視できると考えられる。また、シリコン構造は非常に薄い(0.3μm)ため、製作したセンサは高感度である(分解能は0.2μN以下)。 試作したセンサで滑り落ちる水滴を計測した結果、接触面内で特徴的な力分布が生じていることがわかった。接触面の中央部では液滴は基板を押し、外周部では基板を引っ張っていることが明らかになった。また、水滴において生じる摩擦力は、滑り落ちる水滴の後端に集中することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は液滴が滑り落ちる際に、液滴と剛体表面との間に発生する力を計測できるMEMS力センサの設計・試作・評価を行った。また試作センサを用いて、センサ表面上を滑り落ちる液滴の接触面における圧力及びせん断力の計測を行った。研究計画に沿って、計画通りに進捗したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の目標は提案したセンサを用いて、液滴の滑りメカニズムに影響するパラメーターについて調べることである。具体的には下記の計画で研究を行う。 ・液滴のサイズと滑り速度を変えて、接触面における圧力とせん断力がどのように変化するかを調べる。また、液体の粘性を変えて、粘性がどのように液滴の滑りに影響するかを明らかにする。 ・センサ表面に成形されるピラーアレイのサイズと間隔を変えて、その効果を調べる。 ・さらに、液滴が周期微小凸凹構造を有した表面上に滑り落ちる際、各微小構造との相互作用よる振動をセンサで計測し、その振動に関する解析を行う。
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Research Products
(7 results)