2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05886
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 智佐都 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 誘電特性 / ポリオキソメタレート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子内に2つのイオン安定サイトを有するリング状のポリオキソメタレート分子(以降POMと記載)を用い、分子内の安定サイト間イオン移動を利用した新規物性の創出を目指す。これは電池やキャパシタへの応用を目的とした従来のリチウムイオンやプロトン等の軽元素イオン伝導体開発とは大きく異なり、多彩な機能発現が期待できる。申請者は結晶内の移動に寄与するイオンとして多価・磁性イオンなどの重元素イオンを選択し、磁場や電場を用いたイオン移動制御とそれに伴う特異な磁気、電気物性の発現を狙う。本研究の達成により、これまで注目されていなかった結晶空間内の「局所イオン移動」現象に伴う新たな物性創出やデバイス作製が可能になると考える。 本年度は、テルビウムイオンを内包したプレイスラー型POMについて、局所イオン移動に伴う電気物性をより詳細に調査した。具体的には、分極の電場依存測定(P-E測定)や分極の温度依存測定(P-T測定)を行い評価した。P-E測定を200~330Kの温度領域で行ったところ、室温付近の温度でヒステリシスループを観測することに成功した。自発分極の値は290Kで極大となり、温度の低下と共に小さくなる様子も観測された。さらに0.55kV/cmの外部電場を印加しながら冷却した後昇温させながら焦電流測定を行ったところ、昇温速度に依存した焦電流ピークが観測された。得られた値を積分し、分極の温度依存性を見積もると、0.5K/minの掃引速度では280K付近で自発分極が消滅すること示唆された。一般的な強誘電体の自発分極は転移温度で必ず消失し、掃引温度による変化は観測されない。しかし、本系では掃引速度によって掃引速度によって分極の消失温度が変化したことから誘電ヒステリシスや焦電流は分極の緩和に由来していることが示唆される。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Synthesis, Characterisation, and Structure of a Reduced Preyssler-Type Polyoxometalate2017
Author(s)
C. Kato, K. Maryunina, K. Inoue, S. Yamaguchi, H. Miyaoka, A. Hayashi, M. Sadakane, R. Tsunashima, and S. Nishihara
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Journal Title
Chem. Lett.
Volume: 46
Pages: 602-604
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Synthesis of ε-Keggin-type Cobaltomolybdate-based 3D Framework Material and Characterization Using Atomic-scale HAADF-STEM and XANES2017
Author(s)
T. Igarashi, Z. Zhang, T. Haioka, N. Iseki, N. Hiyoshi, N. Sakaguchi, C. Kato, S. Nishihara, K. Inoue, A. Yamamoto, H. Yoshida, N. Tsunoji, W. Ueda, T. Sano, M. Sadakane
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Journal Title
Inorg. Chem.
Volume: 56
Pages: 2042-2049
Peer Reviewed
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