2014 Fiscal Year Annual Research Report
オークション制度の理論的分析:メカニズムデザイン論的アプローチ
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14J05972
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
數村 友也 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 金銭移転を伴う非分割財の配分問題 / 効率性 / 耐戦略性 / 非準線形選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は効率性と耐戦略性を満たす(オークション)ルールの設計可能性について考察を行った。とりわけ、人々が複数の財を得る事が可能で、非準線形の選好を持ち得る状況に焦点をあてた。人々が持ち得る選好の集合(ドメイン)は、考察の対象としている状況によって大きく異なる。そのため、本研究は様々なドメインを考え、それぞれのドメイン上で望ましいルールの設計可能性を検討した。 本研究はまず、2個以上財を欲しないような選好(単一需要選好)をすべて含むようなドメインを考察した。人々がそのような選好しか持たない場合、効率性と耐戦略性を満たすルールが存在する事が知られている。本研究は、単一需要選好のみならず複数個の財を欲するような選好をドメインが含む場合、効率的かつ耐戦略的なルールが存在するのか考察した。結果、そのようなドメインにおいて、効率性、耐戦略性、個人合理性、敗者の支払い非負性(財を得ない人の支払いは非負)を満たすルールは存在しない事を明らかにした。 次に、複数個の財を欲するような選好のみ含むドメインを考察した。このケースはさらに二つのケースに分ける事ができる。一つ目は、ドメインが準線形選好をすべて含むような状況である。ドメインに含まれる選好がすべて準線形の場合、効率性と耐戦略性を満たすルールが存在する事が知られている。本研究は人々が必ずしも準線形選好を持たないような場合に効率的で耐戦略的なルールの設計が可能か考察した。結果として、このような状況において効率性と耐戦略性を満たすルールが存在するための条件を明らかにした。 二つ目の状況は、財が同質かつ代替財である状況である。このような状況において、本研究は効率性と耐戦略性を満たすルールが存在しない事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、効率性と耐戦略性を満たすオークションルールが存在するための条件を明らかにする事が本年度の目標であった。研究実績の概要にあるように、本年度そのようなルールが存在するための条件を明らかにした。従って本年度は当初の研究目的を達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は効率的なオークションルールに焦点をあてた。しかし、オークションルールが満たすべき性質は効率性のみではない。本研究は今後、効率性以外の望ましい性質を満たすオークションルールを考察する予定である。考察する性質として、次に二つを考えている。一つ目は非羨望性である。この性質は人々が他者よりも悪いものを受け取る事はないという事を要求する。二つ目は匿名性である。この性質は、配分が人々の名前に依存しないという事を要求している。これらの性質を満たすルールをそれぞれ考察し、そのようなルールの全貌を明らかにするのが今後の研究の課題である。
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Research Products
(2 results)