2014 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯地震発生機構を探るための断層温度計の開発研究
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14J06074
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北村 真奈美 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 断層 / ビトリナイト / 摩擦発熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震時の断層せん断強度は,地震発生機構を理解する上で重要である.断層摩擦発熱量の推定は,その断層せん断強度を推定する鍵である.本研究から断層温度計が確立されれば,石炭を含む多くの地質断層から地震時の摩擦発熱温度やせん断強度などの地震発生を規定するパラメータの抽出が可能となる.そこで本研究では,熱履歴を保持する石炭(ビトリナイト)を用いて摩擦実験をおこない,断層運動時の変形効果と短時間の発熱で進行した石炭成熟度から,摩擦発熱温度が推定可能な断層温度計を確立することを目的としている. 平成26年度は,含水条件下における摩擦実験後の試料について,ビトリナイト成熟度測定をおこなった.その結果,(1)含水条件下では室潤条件下に比べて,ビトリナイトの成熟に与えるせん断の影響が小さいこと,(2)実験時の発熱温度が極めて低いこと,(3) 含水条件下と室潤条件下におけるビトリナイト成熟度と温度の相関の傾向は類似していることが明らかとなった.H27 年度は,実験時の含水条件下における試料内温度を計算から求め,ビトリナイト成熟度との相関を決めたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに,当初予定していた実験・測定は概ね終了し,上述した実験内試料温度の計算をおこなうことで,断層温度計としてのビトリナイト成熟度と摩擦発熱温度の相関関係をきめることができる.成果は国内学会・国際学会にて発表し,現在は国際誌掲載に向けて論文を執筆中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の2点に取り組みたい.(1)温度計算をおこない,全ての結果をまとめて論文投稿をおこなう.(2)摩擦発熱量に関連する断層近傍の非弾性特性から歪蓄積過程を調べる.歪蓄積量は地震時の解放エネルギーに関与し,それが摩擦発熱量を決めるため,双方を調べることが,地震時発生機構の包括的な理解につながると考えている.
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Research Products
(1 results)