2015 Fiscal Year Annual Research Report
非接触ひずみ測定システムによる金属板材の大ひずみ二軸応力試験方法の開発
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14J06118
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
箱山 智之 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 塑性加工 / 材料モデル / 降伏関数 / デジタル画像相関法 / 成形限界 / 材料試験 / 数値解析 / 二軸応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
プレス成形シミュレーションを用いた成形不具合の事前予測精度向上のためには、材料モデルの高精度化が必須である。プレス成形中の材料要素が受ける変形挙動を再現可能な材料試験法を開発し、その測定結果を表現可能とする材料モデルの構築が求められている。重要な材料モデルの要素として、降伏関数と加工硬化式がある。本年度はこの両者を高精度に決定する手法を提案した。 1. 液圧バルジ試験結果に基づき、また、異方硬化の影響を考慮可能な加工硬化式決定方法を考案した。これによって、単軸引張試験の拡散くびれ以降の加工硬化特性を容易に決定可能となった。軟鋼板を供試材として、成形限界数値解析に本手法で決定したモデルを導入した結果、成形限界数値解析精度向上の為には、本手法により大ひずみ加工硬化特性を測定することが重要であることを明らかにした。 2. デジタル画像相関法(DIC)をひずみ測定装置とした単軸引張試験によって、大ひずみ加工硬化特性を測定した。DICによる変位分布の測定結果に有限要素メッシュを重ねあわせ、それぞれの節点変位に換算する。そして、内力のなす仕事と外力のなす仕事が一致するようにパラメータを決定する手法である。測定した結果は液圧バルジ試験結果に基づいて同定した結果と概ね一致することが確認され、両者の測定精度の妥当性を確認した。 3. 降伏関数の決定方法はこれまで各降伏関数の原著論文に記載された方法が広く用いられてきた。そこで、二軸引張試験結果への一致度を向上させるため、二軸引張試験結果を考慮した評価関数に基づく同定方法を提案した。高張力鋼板の成形限界数値解析を実施し、本手法に基づくことが、降伏関数の精度向上には必須であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軟鋼板の塑性変形挙動に基づき、材料モデルを決定し、成形限界に及ぼす材料モデルの影響を明らかにした。二軸バルジ試験による成形限界のひずみ経路依存性の実験的研究については、円管試験片製作時の溶接精度に大きく依存することがわかり、本供試材の板厚(0。6mm)では測定できなかった。高精度な加工硬化特性を同定するため、液圧バルジ試験に基づいた加工硬化特性測定手法を構築した。3次元変形に対応した測定システムの構築が完了し、それを用いた単軸引張試験を実施した。それによって、大ひずみ塑性変形特性を測定可能であることを確認した。本年度は従来の研究計画に加え、高張力鋼板を対象とした降伏関数の異方性パラメータの新たな決定方法を提案した。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、材料モデリングに関する研究のさらなる解明を図る。軟鋼板に対して、提案した異方性パラメータ決定手法を適用し、その有用性を明らかにするとともに、高精度成形限界数値解析の実現に及ぼす材料モデルの影響を明らかにする。さらに、高ひずみ速度試験を実施し、ひずみ速度依存性を評価する。数種のひずみ速度依存性構成式を導入し、ひずみ速度依存性構成式の選択の重要性を明らかにする。 また、DICを併用した大ひずみ加工硬化特性測定手法に対して、ひずみ速度や材料モデルの影響に関する検討が未だ十分ではない。そこで、二軸引張試験結果に基づいた材料モデルによって、それらの影響を明らかにする。
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Research Products
(7 results)