2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J06163
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野中 さおり 金沢大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 貪食 / アポトーシス細胞 / 転写因子 / Tailless / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 食細胞はアポトーシス細胞を貪食受容体を介して特異的に認識して貪食除去する。私の所属する研究室では、これまでにショウジョウバエのアポトーシス細胞貪食受容体を同定し、それらを欠損した個体では成虫への発生が遅延することを見いだした。本研究の目的は、アポトーシス細胞の貪食がどのようにして個体成長を促すかを明らかにすることにある。これを達成するため、私は、「アポトーシス細胞貪食時に受容体によって食細胞内部で個体成長を促す因子をコードする遺伝子の転写が誘導される」という仮説を検証することにした。
【研究の成果】 上記の仮説が正しいならば、アポトーシス細胞貪食時に受容体依存に食細胞で活性化され、個体成長を促す遺伝子の発現を促す転写因子が存在するはずである。それを探すため、まず、アポトーシス細胞と共培養した食細胞としていない食細胞からそれぞれRNAを抽出し、ショウジョウバエ遺伝子のジーンチップを用いたマイクロアレイ解析を行った。その結果、アポトーシス細胞刺激依存に食細胞で発現が増大する遺伝子が約340個見つかった。私はこの中から個体成長に必要とされそうな遺伝子を選定し、さらにそれら遺伝子の発現を促すことが知られている転写因子を文献から探して、10個の候補を見つけた。これら候補の食細胞におけるDNA結合活性をゲルシフトアッセイで測定したところ、Taillessと呼ばれる転写因子のみ、その活性がアポトーシス細胞との共培養依存に増大することがわかった。さらに、この活性化はRNAiにより貪食受容体の発現を抑制した食細胞では見られず、この時のTaillessの活性化は貪食受容体に依存することがわかった。 以上より、アポトーシス細胞貪食時に受容体依存に食細胞で活性化され、成長促進遺伝子の発現を促す転写因子が実際に存在することがわかり、上記仮説が正しい可能性が高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した今年度の計画どおりに研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 転写因子Taillessが貪食依存の個体成長に必要とされるかの検証 Taillessを欠損するショウジョウバエの発生状況を調べ、貪食受容体欠損個体と類似の形質を示すか調べる。
2. 転写因子Taillessの活性化機構の解明 アポトーシス細胞の貪食時に貪食受容体の下流で情報伝達に関わる分子について、Taillessの活性化に対する必要性を調べることで、Tailless活性化を促す情報伝達分子を同定していく。
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Research Products
(2 results)