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2014 Fiscal Year Annual Research Report

エボラウイルス感染における「抗体依存性感染増強現象」の分子メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 14J06186
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

古山 若呼  北海道大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2017-03-31
Keywordsエボラウイルス / 抗体依存性感染増強現象 / シグナル
Outline of Annual Research Achievements

エボラウイルスを含む多くのウイルスで、抗体依存性感染増強現象 (Antibody-dependent enhancement: ADE) が知られている。この現象は、抗体がFcγレセプターIIa (FcγRIIa) を介して細胞とウイルスとを架橋し、ウイルスの吸着効率が上昇することによって引き起こされていると考えられている。FcγRIIa下流の細胞内シグナル伝達は、アクチン細胞骨格や膜の再構築に関与することが、これまでの研究から知られている。しかし、これらの細胞内シグナルがADEに関与しているか否かについては明らかとなっていない。そこで、本研究ではADE抗体存在時のエボラウイルス感染における宿主細胞内シグナル経路やウイルスの侵入経路を、ADE抗体非存在時の感染と比較することによって、ADEに特異的なメカニズムを分子レベルで解明することを目的とした。
まず、シグナルがADEに重要であるか調べるため、フィロウイルス非感受性細胞にFcγRIIaまたは、シグナル伝達部分であるCytoplasmic tailを削ったFcγRIIa (FcγRIIaΔCT)を発現させた細胞を作出し、ADEにFcγRIIa下流のシグナルが関与しているか調べた。その結果、エボラウイルスのADE感染には、Cytoplasmic tailが重要である事が判明した。すなわち、FcγRIIaを介したシグナルがADEに関与していることが示唆された。
次に、FcγRIIaの細胞内ドメインによって誘導されるシグナル経路に着目し、各シグナル特異的阻害剤を用いてADE抗体存在、および非存在下でのシュードタイプウイルスの感染価を比較した。その結果、エボラウイルス感染におけるADEでは、FcγRIIa下流のSyk、Src Family PTKsを介したシグナル伝達経路が重要であることが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度では、エボラウイルスにおけるADE感染には、宿主シグナルが関与しているか否か明らかにすることを目的とし、以下の3つの実験を行ってきた。
1.Virus like particle (VLP) およびシュードタイプウイルスの作出:それぞれ作出し、以下の実験に用いた。
2.Fcγ受容体の発現コンストラクト作成と安定発現細胞の作出:レトロウイルスベクターを用いた発現コンストラクトの作出、安定発現細胞の作出、共に完了した。また、作出した細胞を用いて、FcγRIIa下流のシグナルがADEに関与することを明らかにした。
3.各種シグナル阻害剤を用いたADE特異的シグナル経路の探求:FcγRIIa下流に存在する各種シグナル阻害剤を用いて実験を行い、ADEに関与するシグナルがいくつか明らかになった。
このように、本年度では、当初の予定通り、3つの実験において順調に進展させ、期待通りの成果を上げることができたため、上述の評価とした。

Strategy for Future Research Activity

今後は、ADEにおけるウイルスの動向を経時的に解析しようと考えている。この実験では、エボラウイルスのVirus like particle (VLP)を作出し、蛍光標識を付加させる。さらに、宿主細胞の前期、後期エンドソームを蛍光標識、または、細胞小器官を各種蛍光色素を用いて染色し、ADE抗体の有無によるウイルス侵入経路の違い、及び侵入速度などについて共焦点顕微鏡を用いて経時的に観察する予定である。
また、本年度で明らかにしたFcγRIIa下流のシグナルはファゴサイトーシスに関わることがこれまでの研究から示唆されている。そこで、来年度では上述の実験に加え、抗体存在時にファゴサイトーシスの誘導が促進されているかについても解析を行う予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] エボラウイルスの抗体依存性感染増強現象におけるFcレセプターを介したシグナル伝達経路の解析2014

    • Author(s)
      古山若呼、黒田誠、丸山隼輝、宮本洋子、吉田玲子、高田礼人
    • Organizer
      第62 回日本ウイルス学会学術集会
    • Place of Presentation
      神奈川県横浜市 パシフィコ横浜
    • Year and Date
      2014-11-10 – 2014-11-13
  • [Presentation] Fc receptor-dependent signaling pathways involved in antibody-dependent enhancement of Ebola virus infection2014

    • Author(s)
      Wakako Furuyama, Makoto Kuroda, Junki Maruyama, Hiroko Miyamoto, Reiko Yoshida, and Ayato Takada
    • Organizer
      The 2nd Sapporo Summer Seminar for One Health
    • Place of Presentation
      北海道札幌市 北海道大学
    • Year and Date
      2014-09-24 – 2014-09-25
  • [Presentation] エボラウイルスの抗体依存性感染増強現象と宿主シグナル伝達経路2014

    • Author(s)
      古山若呼、黒田誠、丸山隼輝、宮本洋子、吉田玲子、高田礼人
    • Organizer
      第11回ウイルス学キャンプ in 湯河原
    • Place of Presentation
      静岡県熱海市 ニューウェルシティ湯河原
    • Year and Date
      2014-09-17 – 2014-09-18
  • [Presentation] エボラウイルス感染における抗体依存性感染増強現象への宿主シグナルの関与2014

    • Author(s)
      古山若呼、丸山隼輝、宮本洋子、吉田玲子、高田礼人
    • Organizer
      日本ウイルス学会北海道支部 第48 回 夏季シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道上川郡美瑛町白金温泉 国立大雪青少年交流の家
    • Year and Date
      2014-07-12 – 2014-07-13

URL: 

Published: 2016-06-01  

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