2014 Fiscal Year Annual Research Report
代謝に着目したGM3プローブが拓く脂質機能解明に向けた有機合成化学アプローチ
Project/Area Number |
14J06218
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 英介 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | ガングリオシドGM3 / シアリダーゼ耐性型アナログ / 光親和性プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
糖脂質のガングリオシドGM3は、種々のシグナルタンパク質と細胞膜上で集合体“膜マイクロドメイン”を形成し、分化や増殖などのシグナル伝達を制御すると考えられている。しかし、利用できる分子ツールが限られていることや、脂質分子の解析の困難さから、その実態は未だ明らかになっていない。本研究ではこの脂質-タンパク質相互作用を解析するために、細胞内で代謝されない新規GM3プローブを創製し、光親和性標識法により結合タンパク質を同定することを目指す。 本年度は総工程58工程で合成したアジドリゾGM3に対し、アルキンの位置が異なる種々の脂肪酸を縮合させ、4種類のGM3アナログの合成を達成した。今後はアナログの生物活性試験を実施し、脂質の性質を変えない検出基の導入位置を決定する。また今年度は、標識効率の高いベンゾフェノンを基に5種類の新規カルボニル型光反応性基を設計し、光反応の基礎的検討に着手した。まず、水中での光分解反応を試みたところ、近紫外線照射によってNorrish I型およびII型の反応が進行し、カルボニル基周辺の官能基によって、光分解速度や光反応生成物が全く異なることを見出した。続いて、設計した光反応性基の有用性を確認するため、光反応性基を導入したマンノースプローブを設計・合成し、精製コンカナバリンAとの光親和性標識を計画した。光親和性標識の実験系の構築を目指し、まずモデル基質としてアジドフェニル基とアルキンを有するマンノースプローブを用いて、光親和性標識と蛍光基の導入を検討したところ、プローブ-タンパク質複合体をポリアクリルアミドゲル上で検出することに成功した。今後は新規光反応性基を導入したプローブを用いて光親和性標識の条件最適化を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題であった、検出基導入位置の決定に関しては、GM3アナログアルキン体の合成を達成したものの、生物活性試験を実施するまでには至らなかった。一方で、新規光反応性基の創製に関しては、光反応の基礎的検討を完了させ、次年度の計画であった、マンノースとコンカナバリンAを用いた光親和性標識実験を前倒しして実施することができた。年度ごとの研究計画が前後したものの、全体としては予定通り進んだと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は新規光反応性基を導入したマンノースプローブとコンカナバリンの結合位置同定およびGM3光親和性プローブの合成を進めていき、最終的な目標であるGM3結合タンパクの同定を達成したい。
|
Research Products
(2 results)