2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J06240
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平野 雄貴 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 導来圏 / 行列因子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Landau-Ginzburg模型とは、群Gの作用を持つ代数多様体Xとその上の半不変な正則関数Wのデータ(X,G,W)のことである。導来因子化の圏はLandau-Ginzburg模型から定まる三角圏であり、これらは多項式から定まる行列因子化のホモトピー圏や代数多様体の連接層の有界導来圏の一般化である。交付初年度は導来因子化の圏について研究した。 2つの滑らかな擬射影的代数多様体X、X'の間の特別な導来同値から、導来因子化の圏が同値となるような2つのLandau-Ginzburg模型、(X,G,W)、(X',G,W')を構成した。この結果の応用として、フロップでつながる滑らかな3次元擬射影的代数多様体の組XとYが与えられた時、フロップから自然に定まる簡約群Gの作用と正則関数W、Vに関して、導来因子化の圏が同値となるようなLandau-Ginzburg模型の組(X,G,W)、(Y,G,V)を構成した。この結果はSegalの予想の部分的な解決を与えるものである。さらに別の応用として、簡約なアフィン代数群Gの作用をもつ2つの滑らかな擬射影的代数多様体X、X'に対して、もしそれらの連接層の有界導来圏の間に、Gの作用に関する条件を満たす同値がある場合に、それらの同変連接層の有界導来圏の間にも同値があることを示した。この結果はGが有限群の場合にはPloogやElaginの結果により知られていたが、上の結果はそれを簡約なアフィン代数群へ一般化したものである。 以上のように行列因子化のホモトピー圏の一般化である導来因子化の圏を用いて代数多様体の導来圏に関する結果を得ることができた。しかしながら、当初計画していた多項式から定まる行列因子化のホモトピー圏の完備例外列の構成による代数多様体の導来圏の完備例外列の構成に関しては、進展はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績で述べたように、導来因子化の圏の研究により、代数多様体の導来圏に関する結果を得ることが出来た。しかしながら、当初計画していた多項式から定まる行列因子化のホモトピー圏の完備例外列を構成することで代数多様体の導来圏の完備例外列を構成する、という目的は果たされていない。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の導来因子化の圏に関する結果は、代数多様体の導来圏の重要な結果を導いた。この研究により、導来因子化の圏の研究が、代数多様体の導来圏を研究する上で非常に有効であると実感した。よって今後は、当初研究対象としていた多項式から定まる行列因子化のホモトピー圏のみならず、その一般化である導来因子化の圏にまで対象を広げて研究していきたいと考えている。
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