2014 Fiscal Year Annual Research Report
古英語散文から初期中英語にかけての不定代名詞manからoneへの移行と文法的変化
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14J06244
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀 美里 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 英語 / 歴史 / 古英語 / 中世英語英文学 / 中英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
中世英語における不定代名詞manの文法的変化の研究は、古英語(600~1100年)の時代に頻繁かつアングロサクソンの特徴ともいえるスタイルとして用いられたmanがなぜ15世紀にその不定代名詞としての役割を失ったのかという疑問から始まった。2014年度の研究の成果は、主に古英語の初期のテクストの主なものをすべてと、古英語から中英語期への移行の時代のテクスト、そして初期中英語の時代のテクストと、それぞれの時代の特徴を、広く、量的にも多くデータを蓄積し全体像をつかむことができた、ということである。英語史研究において、古英語から中英語までのおよそ900年のあいだの言語の変化を追うということはきわめて重要な視点であり、全体を俯瞰するという意味では当初の計画以上の成果を得た。 研究実施計画に記載した計画を大きく上回り、博士論文で扱うテクストの数、種類共に増やすこととなった。これにより、この博士論文が辞書としても活用され貢献できるような段階への一歩となった。 9月には移行期のテクストについてロンドンでの国際学会で発表し、中世英語英文学の分野での重要な研究者と交流し学ぶ機会を得た。12月の日本中世英語英文学会ではポスター発表を行い、聖書を中心にこまかく言語変化を記述、分析した。 1~2月にかけて、博士論文執筆資格審査に合格し、その際には初期古英語について詳細にデータを集め、分析した。さらに、今までのテクストに加えて移行期のテクストを幅広く、説教集を中心に分析し、論文を執筆し出版を待つところである。 そのほかに、後期古英語のデータ収集、データベース化も順調に進み、初期中英語のデータと共に、通時的に比較しながら引き続きデータ収集、データベースy化を行っている。今後はより包括的に英語史におけるmanをとらえるため、テクストの数を増やし、なるべく全てのテクストからデータが収集できるよう努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究を博士論文研究と位置付ける。博士論文で扱うテクストの数を増やすという方針に変えたため、当初の研究計画よりもデータの量を多く扱うこととなった。そのため、様々なテクスト、時代ともに分析の対象が広がり、そのぶん研究にも幅が出た。当初は、書く時代の主要かつ分量が多いテクストを中心に扱うとしたが、現在はそれを超えて幅広く詳細なデータを集めることに成功している。よって、この研究の貢献度も高まることが期待され、よって当初の計画以上に進展しているという判断をした。具体的な執筆も、ひな形ではあるものの少しずつ進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は具体的な執筆も視野に入れて研究を更に進めたい。具体的な執筆の計画を練り、同時に現在調査中の時代、あるいはマイナーなテクストでも漏れなくデータを集めることを念頭に置く。さらに重要なのは、博士論文の核となることが期待される移行期における言語変化である。今後は先行研究や言語学理論も知っておきながら、データや事実を積み重ねるという伝統的な手法をもとに着実に結果を出し、それを適切な形でアウトプットすることを主眼におきたい。電子データでのデータベースの蓄積にはより力を入れると同時に、テクストを詳細に分析ることは変わらずこの研究の中心に据える。
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Research Products
(3 results)