2014 Fiscal Year Annual Research Report
ショートスリーパー型マウス変異体の探索による睡眠要求量を規定する分子基盤の解明
Project/Area Number |
14J06417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸根 大輔 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠 / リン酸化 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経発火パターンなどに着目すると睡眠覚醒の各状態では、神経細胞レベルでの興奮性・発火特性の制御が生じていると思われる。本研究ではこのような睡眠覚醒のダイナミクス制御の基盤としてタンパク質分子のリン酸化制御に着目した。まず、薬理学的知見から睡眠覚醒制御に重要な役割を果たすと思われるターゲット因子を決定した。本研究では特に、この因子のリン酸化と睡眠覚醒制御について詳しく解析を行うこととした。これまでタンパク質の翻訳後修飾の同定は多くの場合質量分析計を用いて行われてきた。しかしイオン化効率の問題から質量分析によるリン酸化ペプチドの同定は困難である。そこで、本研究ではターゲットタンパク質に含まれるリン酸化のターゲットとなりうる全アミノ酸残基、すなわちセリン、スレオニン、チロシンについて負電荷を持つアスパラギン酸に置換することでリン酸化ミミック型変異体を作製し、これらの変異体の活性を評価することとした。現在、リン酸化ミミック変異体の作製をほぼ完了している。さらに作製されたターゲットタンパク質の活性評価について、既存の方法では熟練された技術が求められる上に、並列化が困難であり、多種の変異体の活性評価には膨大な時間を要する。そこで、蛍光を利用することで、変異体活性の大規模・並列測定が可能な測定系を確立した。この方法では384ウェルプレート上でのリバーストランスフェクションと蛍光測定を組み合わせることで、100を超える変異体の活性を簡便に測定することが可能となった。今後、この実験系により、ターゲットタンパク質のリン酸化と活性制御の関係を網羅的に記述することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は薬理学的な知見に基づいたターゲット分子を選定し、リン酸化修飾によるその機能制御を探索するスクリーニング系の構築に主として取り組んだ。網羅的な変異体作製をほぼ完了し、機能スクリーニングについては蛍光を利用した活性評価系の確立に成功している。これらは度重なる条件検討の結果信頼度よく達成され、来年以降の研究を着実に進展させることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立したスクリーニング系を用いて、酵素活性制御に重要なリン酸化部位の同定を目指す。さらに、リン酸化酵素・脱リン酸化酵素とターゲット因子を同時に発現させた細胞を用いて、ターゲットタンパク質の活性変化およびリン酸化部位の同定を試みることで、責任キナーゼ・フォスファターゼとターゲット因子の協調関係を記述する。これらの細胞レベルの知見からターゲットタンパク質において睡眠覚醒制御に重要と思われるリン酸化サイトの変異体をノックインしたマウス個体を用いて睡眠測定を行い、個体レベルの睡眠覚醒制御とターゲットタンパク質のリン酸化の対応関係を導出する。
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Research Products
(1 results)