2016 Fiscal Year Annual Research Report
大気・海洋を中心とした生物地球化学的循環の解明:元素同位体および化学種の利用
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14J06437
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 昂平 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋エアロゾル / 微量金属元素 / 大気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【太平洋上のエアロゾル中にに含まれる微量金属元素の分布】 本年度は北太平洋に加えて、西部、赤道および南部太平洋、南極海にて採取した粒径を7分画したエアロゾル中の微量金属元素濃度とそれらの粒径分布を明らかにした。その結果、どの海域でも陸域と類似した粒径分布が得られた。また、微量金属弦の空間分布においては西部太平洋上で最も高い微量金属元素濃度を観測した。この海域では陸域を起源とする空気塊と外洋からの空気塊の両方の試料採取に成功しているが、これらの試料中の微量金属元素濃度を比較すると元素によっては1桁以上高い濃度を検出した。これらのことから、海洋エアロゾル中の微量金属元素は陸域の影響を強く受けていることが明らかとなった。
【エアロゾル中のNaの化学種解析】海洋エアロゾル中の主成分である塩化ナトリウム(NaCl)は大気中で酸などと反応し、大気中に塩素を放出することが知られている。これらの反応はエアロゾルの化学的特性を変化させるだけでなく、対流圏オゾンの消失に寄与する。そこで本研究では海洋エアロゾル中のNaの化学種解析を行い、その変質過程の解明に挑んだ。その結果、粗大粒子ではNaClのみであったが、海塩粒子からわずかに塩素が放出されていることが明らかとなった。この際に放出された塩素はオゾン消失などに寄与する活性塩素であり、海塩粒子が重要な放出源となる可能性が示唆された。一方で、微細粒子ではNaClに加えて硫酸ナトリウムやNaの有機塩が含まれていた。特にNaの有機塩は粒子表面に濃集しており、界面活性を持つことが予想される。界面活性を持つ物質の表面濃集は粒子と水蒸気との親和性を低下させ、雲形成に影響を及ぼす可能性がある。このように、海洋エアロゾル中のNaClの競う均一反応や雲形成に影響を与える可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)