2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における外交目標とリーダーシップ-明治立憲政治の再検討
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14J06462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 雄一 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 近代日本外交 / 対外政策決定過程 / 政治指導 / 世論 / 軍縮 / 陸奥宗光 / 西徳二郎 / 原敬 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画に沿って、1890年代から1920年前後にかけての日本の対外政策決定過程、とりわけ原敬内閣期(1918-21年)についての研究を行った。日常的に刊本やインターネットの他、国立国会図書館、防衛省防衛研究所、宮内庁宮内公文書館、東京大学明治新聞雑誌文庫等の施設で資料を閲覧・記録した。192-22年のワシントン会議等に関して、アメリカ(ワシントン)や日本国内各地での資料調査も実施した。また偶然、現代日本の行政機関と記者クラブとの関係を観察する機会を得、ワシントン会議前の海軍軍備制限をめぐる報道の意味を理解するうえで参考になった。 平成26年10月の日本政治学会研究大会においては、明治憲法下の外交と世論との関係について報告を行った。分析結果の一例としては、1921年から22年の日本の新聞約25紙を調べ、ワシントン会議の際に国内新聞が強くアメリカ原案を支持していたという通説に反し、日本全権の交渉姿勢を反映して会議途中から国内の新聞論調が変化したことを発見した。その他にも複数の事例を検討し、しばしば先行研究で世論の影響力が過大評価されていることを確かめ、首相・外相・外務省を日本外交の中心として捉える研究の方向性に自信を持った。12月には、前年に掲載が決定していた論文、「政治指導者の国際秩序観と対外政策 ――条約改正、日清戦争、日露協商」を発表した。19世紀末の日本外交における主要課題を分析し、政策を規定する要素として力中心のリアリズムよりも価値の信奉や相互利益の観念に着目したもので、現在の研究の出発点となっている。以上の研究を踏まえて、次年度に博士論文として研究成果をまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基礎となる資料の所在は概ね確認し、順調に読解を進めている。予想外の資料の発見もあった。また、平成27年度における学会・研究集会報告も複数決定している。ただし、研究成果のとりまとめとなる博士論文の構成についてはなお検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に進んでいるが、論文としてどのようにまとめるかという点についてはまだ確定的な考えを持つに至っていない。他分野も含めて手広く先行研究を調べ、また国内外の研究者と積極的に意見・情報交換を行って何らかの手がかりを得ようとしている。
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Research Products
(2 results)