2015 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における外交目標とリーダーシップ-明治立憲政治の再検討
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14J06462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 雄一 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 近代日本外交 / 対外政策決定過程 / 政治指導 / 帝国拡大 / 利益 / 陸奥宗光 / 小村寿太郎 / 原敬 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度も引き続き1890年代から1920年前後にかけての日本の対外政策決定過程を分析した。博士学位論文の作成を進めつつ、東京近郊の施設において資料を閲覧・記録した。イギリスでの資料調査も行った。中心的政策決定者に着目して長期間を扱う研究手法や利用資料については当初計画通りで、成果のまとめ方としては、研究の進展に伴い、帝国拡大の力学という視角が有用であると考えるに至った。研究成果は主に、平成27年11月に提出した博士論文、「帝国拡大の力学 日本外交1894-1922」でまとめ、その他、複数の英語論文を発表する予定である。また、東アジア近代史学会月例研究会やThe Asiatic Society of Japanの Young Scholars’ Programme、東京大学政治史研究会、世界政治研究会で研究報告を行った。それぞれ、有益なフィードバックを得られるよう博士論文の内容をまとめ直して発表した。 博士論文では、日清戦争から第一次世界大戦後の処理が一段落する1922年にかけての日本の対外政策決定過程を分析し、帝国拡大の力学を捉えた。本論の具体的分析を通じて、五つの点を明らかにしている。第一に、同期間の対外政策決定過程の中心は首相・外相・外務省、とりわけ外相である。その中心の機能が低下するとき、周縁の構想が実行に移される可能性は高まった。第二に、出兵や帝国の拡大に関わる重要な政策については、最も消極的な人物・集団を含め政策決定過程で影響力を有する者全体の合意が形成されることで実行に移された。第三に、外相が体現する外交官の論理を、利益、正当性、(主観的)等価交換の三点から説明し、帝国の拡大との関係性を示した。第四に、具体的な対外政策を導く論理の次元の変化を跡づけた。第五に、総じて政府内の合意に基づいて進められた日本の帝国拡大の分析を通じて、政治指導の可能性を示した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)